第90回
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イースタン・カンファレンス編はこちら。 プレイオフ、ウェスタン・カンファレンス1stラウンド サンアントニオ・スパーズvsサクラメント・キングス ゲーム1が6点差、ゲーム2が2点差、ゲーム3が1点差、ゲーム4がオーバータイムの末に5点差とどのゲームも僅差ながらスウィープで勝利したのはやはりスパーズだった。 意外なことにどのゲームでもエースのティム・ダンカンがスコアリングリーダーになることはなく、シリーズでの得点トップはトニー・パーカーの19.5得点。ダンカンは18.0得点&11.0リバウンドといつもどおりのプレーでチームに貢献。続くエマニュエル・ジノビリがレギュラーシーズンの15.0得点から18.5得点とアベレージを大きくアップさせて得点面で勝利に大きく貢献した。また、ディフェンスでもシーズン1.6スティールだったのを2.5と大きくアベレージをアップさせた。 他で特筆すべき活躍を見せたのは、ベテランのマイケル・フィンリー。アベレージこそ8.5と目だったものではないが、FG%で60.5と素晴らしい数字を残し、今シーズンからの加入ながら既にチームにとって不可欠な存在となっていることを証明して見せた。ちなみに「プレイオフ男」として名高いロバート・オーリーはこのシリーズ振るわず、FG%32.5、3Pでも2/11に終わった。 対するキングスはシーズン終盤の激しい7位争いに敗れたつけは大きく、スパーズ相手では終始マイク・ビビーに頼りきりのオフェンスを展開。そのせいもあってビビーの得点はレギュラーシーズンの21.0から24.0と伸びはしたが、FG%では36.9と散々な出来。ここでの活躍を期待されたロン・アーティストはゲーム2でダンカンに対しあわや出場停止か、と思われたほどの激しいファールを犯すなど、変わらずムラがあることを証明するに終わってしまった。この件では後日マーサーが罰金7500ドルを科せられたが、ゲーム2のあと 「あれ(ダンカンに対するファール)が出場停止処分にならないなら、何をしたらそうなるっていうだ!?ボディブローでもしろというのか!?」 とコメントし、即退場にしなかったオフィシャルを批判したグレッグ・ポポヴィッチHCには1万ドルの罰金が科せられた。 フェニックス・サンズvsロサンゼルス・レイカーズ シリーズを通しての両チームの得点アベレージは112.0得点。とにかく得点の多いシリーズとなった。 フェニックスで行なわれたゲーム1。大方の予想を覆すかのように、このゲームを勝利したのはレイカーズだった。 「確かに我々はレギュラーシーズンでは振るわなかった。けど、オレにフィルにチームメイトには多くの経験がある。このシリーズ、負けないよ」 と早くも勝利宣言を出したのはレイカーズのコービー・ブライアント。ゲーム1で43得点&8アシスト&3リバウンドをたたき出し、その自信を裏付けてみせた。 対するナッシュには記者が「サンズはプレイオフで歴史的にホームでのゲームに苦戦しているが、このシリーズ勝てるか?」との問いに 「それは俺たちがアウェーでも勝てるという証拠。もちろん、次のゲーム2も取るし、残りのホームゲームは全て勝ってみせるよ。LAでのゲームも問題ない。今日の負けは長く続くプレイオフにとってはいい薬になった、とあとで振り返ることになるよ」 と答えた。 ゲーム2はナッシュの言葉通り、120-117でサンズが勝利。 だが、続くゲーム3ではなんと、レイカーズが101-89で勝利しメディアは早くもコービー&フィルのコンビでの特集を組み始め、残りのゲームでいかにレイカーズが有利かを報じ始めた。 ここまで16得点、18得点、13得点と元気のなかったショーン・マリオンが目覚めたのが、次のゲーム4からだった。それまでマリオンを比較的、外で起用することを選んできたサンズが、このゲーム4からはポストアップでの起用を増やし、またマリオンもその期待に応えた。マッチアップする相手がクワミ・ブラウンであればスピードのあるポストプレーで翻弄し、デヴァン・ジョージに代えられればすぐさま外からのショットを沈めマークをかわすといった感じで、レイカーズディフェンスを翻弄。ゲーム4では32得点&5アシスト&12リバウンドを記録し、勝利の原動力となった。 これで火がついたのか、サンズはいつもどおりのオフェンスを取り戻し、ゲーム5、6と3連勝し、シリーズを4-2で制した。ゲーム4、5、6のチームFG%でサンズは52.3と驚異的な数字を残した。 ゲーム6終了後のインタビューでは「ゲーム5後にフィル・ジャクソンHCと口論になったと聞いたのですが?」との質問にコービーは 「そんなことはない。来シーズンもここへ帰ってくるし、その時はもう負けない。フィルも同じ思いだろう」 とだけ話し、2,3の質問に答えただけで早々に席を立った。 そのフィル・ジャクソンHCは 「そうだね。来シーズンもチームとともに戦うだろう」 と話した。シリーズについては 「ナッシュ、マリオンの活躍はある程度はしかたない、予想の範囲内だった。ナッシュはいまやリーグ1のGだからね。我々の敗因はそれ以外のプレイヤーをしっかり守れなかったことだ。特にエディ・ハウスにはいいところで決められ、やられっぱなしだった」 とコメント。記者がサンズで3位の得点(16.5)を記録したティム・トーマスについてのコメントを求めると 「ん?ティム・トーマス?彼はいいプレイヤーだ。しかし、得点をあげてはいるがそれがチームとしての流れを生み出すには至っていないからね。得点の多くもナッシュのおかげだ。重ねて言うがナッシュは素晴らしいGだ」 と、ナッシュを絶賛する一方、Tトーマスはばっさり。 それを会見中に耳にしたナッシュはこう答え、シリーズに幕を下ろした。 「ティムがたいしたことないってジャクソンHCが?さぁ、どうだろうね(笑)。発言することは憲法で認められているから、発言すること自体はいいんじゃないかな。ただ、我々はそのティムのおかげで次のシリーズがあるんで、そろそろお開きにしていいかな。ジャクソンHCには時間がたっぷりあるから存分に話しを聞きに行くといいよ(笑)」 それを聞いたジャクソンHCがこう言ったとか言わなかったとか。 「やはり、彼が1だ」 デンバー・ナゲッツvsロサンゼルス・クリッパーズ 「世間ではラブロン・ジェームスを既に『偉大だ』といい、カーメロにはその『ライバル』だという位置づけをしたがる。だがこれでわかったろ?どちらがより『偉大』なプレイヤーになるかが」 シリーズを4勝1敗で制したすぐ後の記者会見でジョージ・カールHCはこうカーメロ・アンソニーを絶賛した。 32.8得点&6.0リバウンド。うち、4Qでの得点が12.8と脅威の数字を残し、シリーズでチームを牽引したアンソニー。 レギュラーシーズンの時点から早くも高い評価を受けていた「勝負強さ」を改めて証明して見せた。 ゲーム2では98-98の同点の場面からスウィッチしてマークに付いたエルトン・ブランドをかわし、得意のステップバックからのブザーと同時にジャンパーを沈め、勝利を呼び込んだ。 そのブランドはシリーズで24.8得点&11.4リバウンド&FG51.8%と奮闘したが、シリーズを勝利に導くには及ばなかった。 特にチームにとって痛かったのは怪我だ。シリーズのゲーム1でクリス・ケイマンが右足首を捻挫し、その後のゲームも痛みを押して出場するも調子を取り戻すことが出来なかった。レギュラーシーズン11.6得点&9.6リバウンドがシリーズ8.4得点&6.6リバウンドどまりとなった。 「クリッパーズは強かった。E・ブランドがいて、キャセールらの優れたバックコートがそれを援護するんだから。けど、チームでは我々のほうが上だった。それを証明できたことが何よりも嬉しいね」 こう話したのはエース、C・アンソニー。 「このシリーズ、確かに僕が好調でコーチもチームメイトも僕にボールを集めてくれた。けど、それだけで勝てるほどここは甘くないよ。ルーベン(パターソン)がいいディフェンスをして、マーカス(キャンビー)がその後ろでしっかり構えていてくれて。あとなんと言ってもハワード(アイズリー)の活躍は素晴らしかったね。時間は短めだったけどさすが、って感じだったよ。あ、けどハワードはベタラン扱いすると怒るんだ。あれは治してほしいかな(笑)」 ちなみにアイズリーはこのシリーズ4.6得点&3.2アシストを記録。この話の感想を求められたアイズリーは笑いながら「ノーコメントだ」と答えている。 未完の大器といわれ続けているマーカス・キャンビーが13.6得点&12.2リバウンド&3.4ブロックを記録し、健康を維持したことがチームにとっては大きな勝因となった。だが、一方でブランドにあっさり押し込まれてしまうシーンがあったりと、ナゲッツフロント陣の問題も浮き彫りとなったシリーズだった。 ダラス・マーベリックスvsメンフィス・グリズリーズ シリーズ全5ゲーム。どのゲームもまさに「好ゲーム」と呼ぶに相応しいものだった。 ダーク・ノビツキーが28.4得点&3P42.4%とチームを牽引すれば、パウ・ガソルが23.4得点&9.2リバウンド&2.3ブロックで応えた。 だが、この二人の差がゲームの明暗を分けたのも事実だった。 どこからでもショットが打て、安定感のあるノビツキーに対し、ポストからの1on1では多才さを披露するガソルだがまだまだダブルチームには対応し切れていない。ここをマイク・ミラー(シリーズで18.2得点&FG46.2%&3P40.1%)とエディ・ジョーンズ(同13.2得点&2.2スティール)の二人がカバーしたが、決定的な「一本」を沈める能力はやはりマブスに軍配が上がった。 また、グリズリーズはそのスタイルが効果的であるとされる一方、「やりすぎでは?」と一部で批判されているのが、チャッキー・アトキンスとボビー・ジャクソンの二人のPGコンビだ。 シリーズでも二人合わせて23.4得点をたたき出したが、アシストはレギュラーシーズンの二人合わせた6.1から4.9と減り、逆にターンオーバーは2.8から3.2と増えてしまった。 「うちはまだまだこれからのチーム。来シーズンが楽しみだよ」 とだけ語ったE・ジョーンズ。 「この負けは自分のせいだ。チームとしてはいい状態だっただけに悔しい」 と話したのがガソル。 「来シーズンはどこにいくのか?」との問いに(契約が今シーズンいっぱいで切れる) 「できればまたここでプレーしたいよ。ジェリー(ウェストGM)はとてつもなく偉大だ。ここにいさえすれば今のように本当に『いいチーム』でプレーを続けられると思うからね」 とはボビー・ジャクソン。 「とてもタフなシリーズだった。確かにゲーム5で勝利することができてゲーム数としては少ないほうかもしれないけど、全てのゲームがとてもタフだった。けど、プレイオフで勝ち上がるというのはこういうことだとも思い出させてもらったよ。一日ゆっくり休んで、また次にセミファイナルに備えるよ」 ノビツキーはこう振り返りつつ、次への意欲をにじませた。 結果、ウェスタン・カンファレンス、セミファイナルのカードはこのように決まった。 サンアントニオ・スパーズvsダラス・マーベリックス フェニックス・サンズvsデンバー・ナゲッツ セミファイナルは5月11日にサンアントニオ・スパーズvsダラス・マーベリックス戦がまず行なわれる。 ちなみに、フィクションをもとにさらに話を進めてフィクションを作ると、ひどいボロが出そうなので、プレイオフ予想は1stラウンドまでとさせていただきます。ご了承ください。 asua |
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