第70回

「シーズン開幕!シーズン予想!
 ウェスタン・カンファレンス」


 


昨日に引き続き、遅すぎるシーズン予想を載せてみました。
今日はウェスタン・カンファレンスです。(イースタンはこちらから)




 32.1pts&5.3r&4.3a。初のチームリーダー、そして初の得点王に輝いたコービー・ブライアント。
 出場試合数81(左手親指を痛めての欠場が1つのみ)。
 しかし、その一方で指摘されることの多くなったFG%の低さとチームの勝利への結びつき。
 チームは今シーズン、50勝32敗。立派な数字だと言え、物足りないとも言える。
 また、ペース配分にも最近、疑問を投げかける人も多い。
 得点32.1得点の内訳が

 1Q:10.6 2Q:6.2 3Q:8.0 4Q:7.3

 終盤でのクラッチタイムではさすがの活躍を見せる一方、スタートの勢いが4Qにはない。大量リードでもベンチに下がらないことも、「他のプレイヤーへの配慮が足りない」と批判を受けている。
 L・オドム(14.6pts&6.7r&2.1a)にB・グラント(8.6pts&10.1r)は上手く機能したと言える。その一方でC・バトラーは8.3ptsとやや期待外れに終わった。
 オフから風向きのよくないコービー。プレイオフが終わることにその向きがどちらを向いているのか。それはプレイオフでのアベレージ40得点ではなく、チームの勝利であることは言うまでもない。

 サンアントニオ・スパーズ
 ここほど、「チーム」として攻守共にハイレベルなプレーをし続けたチームは他にはないかも知れない。
 T・ダンカンにB・バリーと言うインサイド、アウトサイドそれぞれの土台の上で日替わりでスターが誕生した。
 シーズンハイとなる40得点をマークしたT・パーカー。
 シーズンアベレージで19.1得点をマークしたE・ジノビリ。
 エースを封殺してみせたB・ボーウェンなど。
 新加入のB・バリーはシックスマン・アワードの候補にも挙げられるほど、目立ちはしないが相手チームにとってイヤな存在となり立ちはだかった。
 ボーウェンなど、シーズン中何度となくトレードの噂が流れたが、その都度、ポポビッチHCが完全否定し、チームを動揺さえさせなかったのも56勝と言う数字につながったと思われる。


 そして、今シーズン最も話題となったミネソタ・ティンバーウルブズとサクラメント・キングスのビックトレード!
 オフにディバッツを失い、代わりにG・オスタータグを獲得したキングス。一応、形は整ったかに見えたがリーグ屈指のシューター、P・ストヤコビッチがこのディバッツへの待遇に不満を露わにしトレードを希望。獲得したばかりのオスタータグも右足首捻挫で出遅れるオマケつき。
 そこでキングスは最近、チームに不満を抱えていると噂されるエースのC・ウェバーたっての希望もあり、ウルブズからなんと契約問題でチームと揉めていたL・スプリューエルを獲得。ストヤコビッチに評価は高いもののそのサラリーが原因でトレード候補となっていたD・クリスティ、オスタータグ、D・サンガイラを放出し、スプリューエル、E・ジョンソン、M・マドセン、そしてプレイオフで一躍時の人となったF・ホイバーグを獲得した。(ちなみにトレードは開幕直前から噂があったが契約の都合上、正式に成立したのは12月半ば)
 トレードを喜んだスプリューエルはオフにチームと4年の契約延長にサイン。金額は明らかにされていないが、ウルブズに求めた金額とはかなりかけ離れたものらしいことは間違いないようだ。
 このトレードはスタッツ上、F・ホイバーグのプレータイムが増える分を加味すればさして不公平なトレードではないようだが、言うまでもなく外のストヤコビッチ、ディフェンスのクリスティ、この両者の存在の大きさを浮き彫りにしたトレードとなった。

 ウルブズはトレード直前まで波に乗り切れず、5割を少し越えたあたりでうろうろしていたのだが、トレード、そしてS・キャセールとの契約延長での問題が正式に発表はないものの解決したらしく、オールスター明けからは怒涛の11連勝を含む快進撃でトータル58勝24敗でウェスタンを制し、プレイオフに挑むこととなった。
 ちなみに今シーズンのMVPは2位のT・ダンカンを接戦で制し、K・ガーネットが獲得している。

 一方、キングスは強固さを誇ったディフェンスがプレイヤーの大量流出入にクリスティの離脱もあってレベルダウン。オフェンスはF・ホイバーグが移籍から期待通り(キングスに移ってから31.0分で11.2得点)の活躍でなんとかレベルダウンとまではいかなかった。
 シーズンでは50勝32敗。悪い数字ではないまでも、ファンの期待に答えられたかと言うと確かに疑問は残るシーズンとなった。
 「全てはプレイオフだ。チームが途中で大きく変更を余儀なくされたんだからシーズンでの成績は仕方ない。経験豊富なラトレル(スプリューエル)にプレイオフに強いフレッド(ホイバーグ)を獲得できたんだ。ウェスタンを制するのはきっと俺達だ」
 とウェバー。
 関係者によれば「ウェバーは近年見ることの無かった、健康と伸び伸びとしたプレーをしている。プレイオフでも期待できるのでは?」とのことで、本人はスプリューエル獲得が間違いでなかったと信じているだけに、それを証明する為にもプレイオフでの勝利を切望しているようだ。
 ちなみにストヤコビッチ獲得には76ersもG・ロビンソンを軸に猛烈にアタックしたようだが、最終的にはこのような結果となった。


 ダラス・マーベリックスはM・フィンリーがいる限り、プレイオフを逃すことはないだろう。
 今シーズン、MVP候補にも挙がったエースのD・ノビツキーはこれまで繰り返し言ってきたことをシーズン中ずっと繰り返しコメントした。
 「ダラスはフィンリーのチームだ。ドン(ネルソンHC)が作戦を立て、フィンリーが実行し、僕は決めるだけでいいんだ。もし、このチームの誰かがMVPに選ばれるならそれはフィンリーであるべきだ」
 S・ナッシュ、A・ウォーカー、A・ジェイミソンを失い、プレイオフさえ危ぶまれたがJ・テリーがスコアで、E・ダンピアーがインサイドでそれぞれがそれまでのプレイヤーとは違った形でチームに貢献した。
 そして、ネルソンHCは一般の評価以上に素晴らしいHCかもしれない。ディフェンスは相変わらずだが、あのスタックハウスをシックスマンで機能させるだけでは止まらず、不満まで言わせない人心掌握。これまでもN・V・エクセル、A・ジェイミソンとスタータークラスのプレイヤーをベンチ起用し、成功してきたがその成功が元ですぐプレイヤーからの「スターター、もしくはトレード」との要求が出て、長くメンバーを固定することが出来なかった。が、今回はスタックアハウスは「ここでキャリアを全うしたい」とまで言っており、予想に反し52勝した今シーズンもプレイオフもそうだが、来シーズンにも期待の持てる内容となった。
 ただ、シーズン途中「健康上の理由」として3ゲームをネルソンHCが欠場している。これにはACのA・ジョンソンにコーチ経験を積ませるのが目的では、とも言われているがもし実際に健康上の理由であれば心配されるところだ。


 ヒューストン・ロケッツ
 ロケッツはやはりと言うか、出足大きく躓いた。
 インサイドのヤオ・ミン、バックコートのトレイシー・マグレディ。この二本柱をどう機能させるか。それがジェフ・ヴァン・ガンディHCの苦心のしどころだったのだが、序盤はどっちをエースとするでもなく、まずヤオに入れ、マグレディがパスアウトを要求、でマグレディの1on1と言うパターンが多かっただけで、二人がいるからどうということはなかった。
 しかし、シーズン序盤から機能したのはディフェンスだった。ヤオが後ろに控えているとあってか、果敢にスティールを狙うマグレディにロケッツの面々。ブロックでもチームに貢献したマグレディだが、時折見られるファールトラブルへ批判もあった。それでも、序盤はディフェンスで、後半からは攻守両面でチームを支え、これまで噂にも上らなかったMVPにも候補止まりだったが挙げられたことは個人の能力以外で彼が評価されだしたことを意味している。
 結局、得点王こそコービーに譲ったものの、24.3得点を挙げスコアで、スティールでは1.93を記録しディフェンスでとチームに貢献。49勝53敗でプレイオフに挑む。ちなみにヤオは18.3得点に9.3リバウンドを記録。中でも評価を上げたのがアシストの2.6で、昨シーズンの1.5から考えると飛躍的な成長、と言える。


 ポートランド・トレイルブレイザーズは今シーズンもトレードの画策に奔走した。
 それとは裏腹にまとまった大型トレードは一件のみ。
 メンフィス・グリズリーズとの間で行われたD・アンダーソン、V・ステファンニァを放出し、M・ミラー、S・バティエを獲得するといったもの。
 外のオフェンスが欲しいブレイザーズに、走れて一人で得点の出来るプレイヤーが欲しいグリズリーズとの利害が一致した形。
 だが、意外にもこれが実を結んだのはグリズリーズのインサイドだった。
 グリズリーズは開幕スターターのL・ライトが12ゲーム目にして左足首捻挫で2週間の戦線離脱を余儀なくされる。そこで先に獲得したV・ステファンニァがスターターに止む無く起用されたのだが、これが見事に期待以上の結果を生んだ。
 ライトは怪我まで8.9得点&7.3リバウンドを記録していたが、ステファンニァはスターターになってから8.3得点&8.6リバウンドを記録。そしてチームが何より期待していた「サイズ」をステファンニァはチームに持ち込んだ。長い腕からは期待ほどのブロックは生み出されなかったものの、オフェンスにとっては紛れもなくプレッシャーとなり、見事にライトの穴を埋め、怪我からライトが復帰後もスターターを勤めた。
 他に、P・ガソルにエースとして初の20得点台を期待するも、序盤アテネ五輪の疲れか11月を16.3得点とするとその後、尻上がりに調子を上げたものの19.3得点どまりでシーズンを終えた。
 チームは昨シーズンと変わらないケミストリーの高さを維持し(オールスター明けにB・ウェルズが「もっとプレーしたい」と一時物議をかもしたが事なきを得る)、昨シーズンと同じ50勝をマーク。数字上ではD・アンダーソンが14.3得点に終わり、誰しもが大きな数字上の成長を見せたわけでもない。しかし、最後のシーズンと噂されるH・ブラウンHCは「ジェイソン(ウィリアムス)は今シーズン、大いに成長した。MIPに選ばれてもいいぐらいだ。数字ではFG%があがったぐらいだが、数字じゃないんだ。その証に来シーズンには間違いなくオールスターに選ばれるだろう」とコメント。今シーズンもオールスターのメンバーが発表されると同プレイヤーが入っていないことを知ると激怒した、と言われている。
 昨シーズンは一勝もできずに終わったプレイオフ。
 「昨シーズンとは違うよ。無駄にあのプレイオフを経験したわけでも、無駄に一年を過ごしたわけでもないんだ」
 とチームリーダーのJ・ウィリアムス。昨シーズンと変わらずディフェンスを武器とし、プレイオフで挑む。


 ウェスタンで最後のプレイオフスポットを獲得したのは新進スターの率いるデンバー・ナゲッツだった。
 開幕6ゲームで2勝と苦しむが、M・キャンビーに代えてネネをスターターのCに起用し、C・アンソニーが声を出しリーダーシップを発揮。
 「C・アンダーセンの穴は大きい。彼のガッツ溢れるプレーに誰もが気合を入れられたからね。けど、こうなったからには誰かが代わりにみんなにガッツを注入しないと」(C・アンソニー。21.6得点を記録)
 「正直、最初は戸惑ったよ。何事だ?みたいな。けど、ケニオン(マーティン)がカメロをサポートし徐々にチームはいい方向へ動き出したんだ」
 とはベテランのヴォション・レナード。
 そのガッツが裏目に出てか、オールスター前の3ゲームをリバウンド争いの時に右足首を捻挫し欠場、オールスターにも選ばれながら欠場を余儀なくされた。しかし、そんな姿に感化されたチームメイトが欠場中の3ゲームも2勝と乗り越え、後半で多少息切れしペースダウンしてしまうが、トータル44勝38敗でプレイオフ進出を決めた。


 プレイオフ進出が期待されたユタ・ジャズでは新加入の二人が意外と苦戦。M・オクァは「外もあるC」と言うのが彼の売りだったがスターターになってしまうと逆に「インサイドがしっかりできない」と評価を逆転し、C・ブーザーは18.1得点&10.1リバウンドを奮闘したがFG%がNBA入り後初の5割を割り込み、.486とし、対被ブロック数がウェスタンに移り上がった為との見方が強い。
 そして、スターターのC・アロヨがシーズン前に一度、シーズン中にもう一度同じ右足首を捻挫し、シーズンを通して期待通りのプレーができなかったことも大きかった。
 シーズントータルで42勝42敗。惜しくもプレイオフ進出を逃した。
 しかし、A・キリレンコが18.9得点を挙げて成長を見せ、「来シーズンはもっとメメット(オクァ)に期待できるだろう。今から楽しみだ」とJ・スローンHCのコメントからも来シーズン、本格的に「新生ユタ・ジャズ」が動き出すのかもしれない。



asua



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