第30回、改造計画
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ミ、ミネソタ・ティンバーウルブズ
KGのトレードで再建モードに突入したウルブズだが、ファンとしては来シーズンを諦めるのは忍びなかったのか、それとも単なる気まぐれか(笑)。ご希望を多数頂いたので「チームが来シーズンに優勝を目指すという姿勢に方向転換した」という前提に話を進めたいと思う。 ウルブズはまず、フロントコートとバックコートのどちらにチームの「柱」を持ってくるかをまず考える必要がある。今噂のある大物と言えば、フロントコートで言えば、ショーン・マリオン(フェニックス・サンズ)にアンドレイ・キリレンコ(ユタ・ジャズ)、バックコートで言うとコービー・ブライアント(ロサンゼルス・レイカーズ)だ。 この3者の中で一番、トレード実現への可能性が高いのはキリレンコで、一番低いのはコービーだ。 キリレンコは契約を破棄してでもジャズを出て行きたいと話しており、コービーはあくまでもチームに補強を要求しつつのトレード要求している。 優勝を狙おうと思えば、(それまでにアップしたかったのですが)トレーニングキャンプまでにはチームを早急に固める必要があり、コービー獲得のために長々と交渉を続けるわけにはいかない。 残るはキリレンコにマリオン。 キリレンコはトレードの実現性が高く、ディフェンス力に秀でたプレイヤー。マリオンは1on1のディフェンスに優れており、得点力もある。 現状のウルブズでは攻守ともに頼れるマリオンを選び、まずはエースを確保したい。 マリオンはインサイドでもアウトサイドでも得点ができ、前述の通りディフェンスもできる。ゲーム終盤に素晴らしい集中力をみせもする。 サンズで「尊敬されない」と不満を漏らしているそうだが、ウルブズで新たなエースとしてチームの期待を一身に受ければ、期待に応えてくれるはずだ。 具体的なトレード内容は以下の通り。 サンズ放出 ショーン・マリオン マーカス・バンクス エリック・パイカウスキー サラリー総額 約2150万ドル
ウルブズ放出 セオ・ラトリフ リッキー・デイヴィス ジェラルド・グリーン サラリー総額 約1990万ドル
サンズはこのトレードで来シーズンのサラリーをおよそ160万ドル抑えることができ、ラグジュアリータックス支払い回避へ前進する。ラトリフ、デイヴィスは契約が来シーズンいっぱい。デイヴィスについてはサンズにフィットし戦力となることが期待できる。グリーン獲得はサンズの層の厚さと将来性を増す。 サンズはマリオンを失うことにより生じるフロントコートの穴はB・ディアウがある程度は埋めてくれるはず。A・スタウダマイヤーが欠場したシーズンに活躍し、そのオフにFAとなったディアウは大型契約を結んだが、スタウダマイヤー復帰からスタッツを大きく下げ、トレードは不可能だ。だが、その器用さは健在で、サンズであればプレータイムを与えれば相応の活躍してくれるのではないかと。 ウルブズはマリオンに加えて、サンズでは活躍できなかったが能力のあるバンクスに、ベテランのシューターを獲得する。 スタッツ的にはウルブズが「-5.2得点 +1.4リバウンド -2.5アシスト」となる。サンズはサラリーカットへの希望が強く、これで成立もありうると思う。サンズがよりサラリーカットに重きを置く場合は、グリーンではなくボストン・セルティックスから得た1巡目指名権をつけるというのでもありかと。難しければセルティックスから得た2つの将来の1巡目指名権のうち、一つをグリーンとともに放出すればまとまるんじゃないかと思う。 PG M・バンクス、R・フォイ、S・テルフェア SG M・ヤリッチ、R・マッキャンツ、E・パイカウスキー SF S・マリオン、C・スミス、C・ブリュワー、R・ゴメス、T・ハッセル PF A・ジェファーソン、J・ハワード、M・マドセン、C・リチャード C M・ブラント 続いて、ミルウォーキー・バックスとのトレードを成立させ、ダン・ガズリッチを獲得する。 バックスはガズリッチと今の契約を結んでから、ドラフト1位指名でA・ボガットを獲得。プレータイムが伸び悩んでいるガズリッチは期待通りの成績を残しているとはいいがたい。来シーズンからはY・ティアンリアンに一定のプレータイムを約束しているともされており、ガズリッチ活躍の場も成長の機会も激減するものと思われる。 そのガズリッチがウェスタンへ移り、立派にスターセンターとして活躍してくれる、とまでは考えていないが、インサイドに特化したガズリッチとミドルを主力武器として得点をあげるM・ブラントとで、相手Cによっては起用法次第でゲーム毎入れ替わりでの活躍なんてことも期待できる。 更にミルウォーキーから出たがっているC・ベルも獲得し、バックコートに安定感とディフェンス力を加える。 こちらからの見返りは、J・ハワードとS・テルフェア。ハワードは優勝争いのできるチームへの移籍を希望していたが、完全にではないがやや希望にそう形になる。 スタッツ上ではウルブズが「+2.5得点、+0.2リバウンド、-0.9アシスト」とやや有利だが、ハワードが2年約1420万ドルにテルフェアが(来シーズン後にクオリファイイングオファーをだせなければ)1年256万ドルの契約残なのに対して、ガズリッチは4年約2600万ドル、ベルは5年1850万ドルの契約残がある。契約残としては約2700万ドルの削減に成功する。 また、バックスはM・ウィリアムスがいるが、他にPGはルーキーとロイヤル・アイヴィー(昨シーズン、3.0得点&0.8アシスト)がいるだけ。多少でもNBAで実績があり、ウィリアムスとタイプの異なるテルフェア獲得はあってもいい選択だと思う。 ただ、ベルの契約がお買い得な内容であることと、テルフェアに怪我の不安があることから指名権をつける必要があるかも知れない。 バックス放出 ダン・ガズリッチ チャーリー・ベル サラリー総額 ベルを1850/5で370と仮定して、計約945万ドル
ウルブズ放出 ジュワン・ハワード セバスチャン・テルフェア サラリー総額 約945万ドル
PG M・バンクス、R・フォイ SG C・ベル、M・ヤリッチ、R・マッキャンツ、E・パイカウスキー SF S・マリオン、C・スミス、C・ブリュワー、R・ゴメス、T・ハッセル PF A・ジェファーソン、M・マドセン、C・リチャード C M・ブラント、D・ガズリッチ バックコートはベルを中心に、フロントコートはジェファーソンを軸とし、その間をマリオンが暴れまわるというロスターとなる。 他では、クレイグ・スミスが7.4得点・5.1リバウンド、ライアン・ゴメスが12.1得点・5.6リバウンド、トレント・ハッセルが6.7得点・3.2リバウンド・2.7アシストを記録するウルブズF陣。しかし、ハッセルが24.0%(試投数1ゲーム0.3本)、スミスが0%(同0.1)、ゴメスが38.1%ながら試投数は0.6とアウトサイドに不安を感じさせる面々。なら、とPF起用を考えたいところだが、ハッセルは195p、ゴメスにスミスは201cmと苦しい。サラリーはスミスが1年68万ドル、ゴメスが1年77万ドル、ハッセルが3年1305万ドルの契約残がある。 そこでクリーブランド・キャバリアーズとのトレードをまとめ、不安が拭いきれないPGにE・スノウを加え、フロントコートにはD・グッデンを加え、層を厚くする。 キャブスは3Pを打てるプレイヤーが多いが、3Pシューターとラブロン・ジェイムスとの間でフィジカルなプレーで得点を捻じ込めるプレイヤーがいない。再契約の噂があるA・ヴァレジャオぐらいか。 更にはL・ヒューズの怪我の不安がある。 そのため、キャブスへ201pとサイズがあり、複数のポジションをこなせ、ヒューズのバックアップに適しているM・ヤリッチを獲得。更にT・ハッセルにR・ゴメスを加える。 A・ヴァレジャオとS・パブロヴィッチとの再契約交渉が難航しているキャブスだが、このトレードが成立すれば来シーズンのサラリーは190万ドルほど削減でき、ヴァレジャオのプレータイム確保も容易になる。一方で契約残はスノウとグッデン二人で2750万ドルだったのに対して、ヤリッチ+ハッセル+ゴメスでおよそ4100万ドルと約1300万ドルほど増える結果となる。しかし、PGでのプレーしか期待できないスノウに年670万ドルを払うことを思えば、1番から3番までのバックアップを期待できるヤリッチに605万ドルを払ったとしても諦めが付くというものだろう。 そのスノウを取ることには疑問もあると思う。身体的限界を感じている人も多いかと思うが、それでもここ5年で欠場したゲームは1つだけというタフさをみせており、スピード以外の身体的限界ではまだ時間的余裕が多少はあるようにも思える。契約は2年1400万ドルと高いが、若いG陣の指導と要所でのプレーを期待しつつ、グッデン獲得のためにも獲得することとする。 キャブス放出 エリック・スノウ ドリュー・グッデン サラリー総額 1310万ドル
ウルブズ放出 マルコ・ヤリッチ ライアン・ゴメス トレント・ハッセル サラリー総額 1120万ドル
最終ロスター PG M・バンクス、R・フォイ、E・スノウ SG C・ベル、R・マッキャンツ、E・パイカウスキー SF S・マリオン、C・スミス、C・ブリュワー PF A・ジェファーソン、D・グッデン、M・マドセン、C・リチャード C M・ブラント、D・ガズリッチ
課題はあまりにも多い。 多い、というのは間違いか。全てのポジションに問題を抱えている。 主にコートにたつ2人のPGは経験が浅く、SGとして期待するベルも経験が足りない。SFのマリオンは万能だがチームリーダーとしての実績はこれからだ。PFのジェファーソンはKGを放出して取ったほどに活躍してくれるかはまだわからない。Cはいうに及ばず。PFにグッデンが控えているのが唯一のチームの安心材料といえるかもしれない。 PGには成長が必須で、インサイドではHCの手腕次第で強みどころか不満が噴出することさえ考えられる。 ジェファーソンの成長次第ではCとして起用し、相性もよさそうなグッデンとのインサイドコンビも成立可能だ。 マリオンにはチームを引っ張ってもらう必要がある。 このチームで一番実績があるのは間違いなくマリオンだ。チームでスタッツを残すのはたやすいだろうが、そこから次へ進もうと思えば、彼のリーダーシップは不可欠。 スノウ、ベル、マリオンには個人成績以外のものが新たなウルブズでは求められる。スノウはそうではないかもしれないが、ベルにマリオンにはチームのリーダーとしての働きが求められたことはないだろう。しかし、それがなければ、このチームが勝ちあがることは難しい。 色々、色々…改善が必要だが、今のウルブズが来シーズン、優勝を狙うための補強は行った。 もちろん、足りない。それでもいくらか%をあげられる案は出したつもり。 しかし、今回は何が一番ムリがあるかというと、一番最初の「チームが来シーズンに優勝を目指すという姿勢に方向転換した」という前提条件。 KGをトレードに出し、若手を何人も獲得。1巡目指名権もセルティックスから2つ得ている。 更に人気ががた落ちでもしていれば、テコ入れが必要になってくるかもしれないが、KGがシーズンチケットホルダーに対する影響は少ないとは既にお伝えしたとおり。 ウルブズファンの皆さん。ご希望いただいておきながら、こんな案しか出せず、さらにこんな結論で申し訳ないですが、もう数年は必要だと思います。 あと一つ… asua はっきり言いまして、厳しい結果になるのは重々承知しておるんですが、これを設けないというのはご希望をもらってやった身としては許されないことのような気がしましたので、採点を今回もこちらで受け付けております。 以下はマリオン獲得が実際には難しいとの考えの根拠と、でも取れたらおいしいという話です。 マリオンは来シーズン後にFAとなる権利を持っており、このオフの間に契約延長を希望している。その額は3年6000万ドルともいわれている。年平均にすると2000万ドル、トレードの原因の一つともいわれるKGが契約延長で希望した額と奇しくも同じ額となっている。 KGは最終的にはプレイヤーオプションを行使し、現在の契約の後へ3年5100万ドルの契約延長となったが、希望額は3年6000万ドルではなかったかと記憶している。ちなみにこちらも「確か」という記憶のレベルだが、「年1200万ドルなら契約延長したのに」とウルブズのオーナーが口にしてはいなかったか。そう考えると、マリオンを獲得したとして、契約延長を希望するだろうが、ウルブズ側がKGに出さなかった額をマリオンに出すと考えるのは難しいのではないか。KGのトレードの結果、チームの人気がガタ落ちでもしていれば別だが、シーズンチケットなどへの影響は少ないとこれまでのところ報じられており、やはり苦しい。しかし、そうなると、マリオンの獲得自体が難しくなってくる。 だが、KGと同じ程度の額であれば呑むものと仮定するとどうだろう。 ジェファーソンとは契約延長が噂されており、2年後にもチームにいる可能性が高い。更にチームのもう一本の軸として期待したいC・ベルはマイアミ・ヒートとの契約を実行しようとしたため、ヒートの出せる範囲内での契約で合意しお買い得なプレイヤーとなっている。 つまり、マリオンとジェファーソンにベルを同時に保有し続けることは可能だということだ。 そうであれば、優勝を数年の間に目指すことは充分可能だと思われる。 |