Rebuild             


第19回、「Rebuild−チーム改造計画」
コーチがコーチゆえに、あまり動かせないチームなのに希望が多くて困った(笑)、
ロサンゼルス・レイカーズ!

レイカーズの場合、「動かさないこと」それ自体が一つの補強にもなり得るため、人員移動としては抑え目(?)ですが、それは決して、決して手を抜いているわけではない・・・と思います。

 ロサンゼルス・レイカーズ

 フィル・ジャクソンHC就任以来、期待感が急上昇したレイカーズ。昨シーズンは45勝37敗、プレイオフでは1stラウンドで敗退したが7ゲームまでもつれ込む接戦を演じるなど、ややファンの期待を上回ったシーズンとなった。

 そして、2006-07シーズンへ。

 オフに入り、デヴァン・ジョージがチームからFAとなり、その穴を埋めるべく獲得したのがブラディミール・ラドマノビッチ。というのが現在の布陣だ。
 PGには予想を超える活躍を見せてくれたスマッシュ・パーカー、SGには81得点の大記録を打ちたて背番号も新たにシリーズへ挑むコービー・ブライアント、SFにはサイズと得点力とチームへの気配りを併せ持ったラマー・オドム、PFにはプレイオフでやっとそれなりの活躍を見せてくれた2001ドラフト1位指名プレイヤーのクワミ・ブラウン、Cには器用ではないがしっかりと仕事をこなすクリス・ミーム。
 さらにはベンチからはラドマノビッチ、ポイント起用に答えるアンドリュー・バイナム、いい日もあるルーク・ウォルトンとブライアン・クックがいる。
 一見して問題はなし。

 問題はオフェンスよりもディフェンス。

 昨シーズンのレイカーズはチームファール数が平均で23.1。リーグで13番目に悪い数字だ。13だと、ほとんど真ん中に近く、「悪いというほどではないのでは?」との見方もあるだろう。しかし、レイカーズよりこの部門で悪い数字を出している12チーム中、実に9チームがプレイオフ出場を逃し、プレイオフに出た3チーム(シカゴ・ブルズ、ニュージャージー・ネッツ、ミルウォーキー・バックス)のうち、ネッツ以外は1stラウンドで姿を消している。言うなれば、この約半数にあたる13のチームはやや強引なくくりではあるが、昨シーズン成績の良くなかったほうの半数と言える。
 そして、そのレイカーズにあってファール数が1番多いのが同部門でリーグワースト10位につけているクリス・ミームで、3.6。プレータイムは26.1分。ちなみにワースト10の中で一番プレータイムが少ないのはミーム。
 一概には言えないが、多くの場合、ファールはディフェンスができてない時に犯してしまう。ファールが多いのはポジションもあるが、ディフェンスができていない証拠ともいえる。ちなみに、チームファール数が18.5でリーグで一番ファール数が少ないのはディフェンスで定評のあるデトロイト・ピストンズ。

 今のレイカーズは一応の形は整っている。各ポジションのスターターをこなす能力のあるプレイヤーを配し、バックアップも順次育ってきている。だが、目標が優勝となると、チームの武器がコービーと出来上がっていないトライアングルオフェンスだけではあまりに苦しい。

 そして、ここで問題になってくるのが、どちらの手でいくのか、ということ。

 ・地味ながら確かな、チームとしてのまとまりを推し進め、チームディフェンスとトライアングルオフェンスの成熟に期待する方法。

 ・思い切ったトレードで、習得に時間がかかると言われるトライアングルオフェンスのチームにあって人員の入れ替えを行なう方法。


 前者であるならば、下手に動かないことがベストである為、「何もしない」というのが結論となる。その際にはダレル・アームストロング、リック・ブランソン、チャッキー・アトキンスや、フロントコートではジャヒディ・ホワイト、ロバート・トレイラーなど、あくまでバックアップのプレイヤーの確保にフロントは走る必要がある。

 後者なら・・・、私はラマー・オドムとクリス・ミームの放出を提案したい。見返りはサクラメント・キングスのブラッド・ミラーとロン・アーティスト。
 オドムはチームのバランスを取り、ミームはチームにガッツとインサイドでの得点をもたらしてくれている。だが、このままで優勝できるのかと言うと、私は大いに疑問を感じる。今更だが、ここでの改造計画は改造の結果、優勝を目指すというかなりすさまじい結果を求めている。その点はご了承いただきたい。目標が「いいチームを作る」というのであれば、今のままでいくのが間違いなくベストだと私も思います。

 チームの不安点であるディフェンス力をアーティストは補ってくれ、ミラーはコービーの大きな助けとなるであろうミドルレンジより外からのショットをCながら持っておりディフェンスも一定以上の評価ができる。
 来シーズンの契約がオドムが1248万ドル、ミームが421万ドル。ミラーが962万ドル、アーティストが715万ドル。
 両者のサラリーがレイカーズ側放出が1669万ドル、キングス放出側が1677万ドルとトレードは可能なはず。

 レイカーズはこのトレードで契約残が4471万ドルだった二人から、7940万ドルに激増する。
 また、ミラーは現在、30歳。契約は5年残っており、ミラー獲得は将来的に見ておいしいものとは言えない。だが、どのチームも喉から手が出るほど欲しがっているCをヴァージョンアップさせるには大きなリスクも仕方ない、と判断。
 キングス側としてはこの契約残が減るということに加え、アーティストがチーム残留を希望しているボンジ・ウェルズとの契約が破談になった場合、問題児のアーティストがどういう反応をするのか。また、成功したとしても彼という爆弾は個人の能力と秤にかけても不安感が勝つほどのもの。サマーリーグにも参加し、やる気をみせているが、チームがアーティストを信頼し切ることができなければこのトレードはありえるのではないだろうか。

 フィル・ジャクソンHCはかつて能力はリーグ屈指のPFでありながら、どこのチームも手を出さなかった問題児デニス・ロドマンを制御して見せた実績がある。また、ミラーはあの器用Cの代表とさえ言えるブラディ・ディバッツのもとでプレーした経験がある。Cに一つの突出したものより、多くの多才さを要求するトライアングルオフェンスにあってひょっとしたら遅咲きながらミラーの才能が開花するのではないか、との期待もある。
 更に前述のバックアップメンバーを加えることが出来れば・・・

 PG S・パーカー(バックアップ D・アームストロング)
 SG K・ブライアント(S・ブヤチッチ)
 SF R・アーティスト(L・ウォルトン)
 PF K・ブラウン(V・ラドマノビッチ)
 C  B・ミラー(A・バイナム、J・ホワイトor健康問題で契約が破棄された過去からそれが確認できればR・トレイラー希望)

 という布陣ができる。アウトサイドからのシュート力がもう少し欲しいところなので、ミルウォーキー・バックスから制限付きFAのジリ・ウェルシュでも取れれば。これで物足りなければ、かつてシカゴ・ブルズでジャクソンHCと共に戦ったトニー・クーコッチを最低保障給でつれてくるのも手かも知れない。多くは期待できないが、トライアングルオフェンスを熟知し、それで優勝を経験したベテランが加わることは決してマイナスにはならないだろう。
 トレードする案では他にフィラデルフィア・76ersのスティーヴン・ハンター(来シーズン、302万ドル。契約残4年1341万ドル)獲得も考えたが、目標が優勝になると彼では厳しいので上記案となった。

 フィル・ジャクソンHCのチームとの契約が確か2007-08シーズンいっぱいの3年契約。
 K・ブラウンの契約が同じく07-08まで。アーティストもプレイヤーオプションがあるが恐らくは行使しないだろうから、契約は07-08シーズンまで。
 来シーズン、一定以上の結果を出し、プレイオフをこのチームで1ゲームでも多く経験し、充実したオフを過ごす。そして、勝負の2007-08シーズンへ。
 コービーの個人の能力は既に証明済みで、あとはクラッチタイムでの働きをどこまでできるのか、できる状態(それまでにコービーを休ませることができるかなど)にチームが置けるか。オドムが抜けることにより、ゲームコントロールの部分でコービーの負担が増すが、ミラー、アーティストが得点力でカバーしてくれるはずだ。

 そして、これまでのディフェンス偏重だったプレイオフが昨シーズン、ややオフェンスへと流れが変わりつつある気がしたのは私だけだろうか。
 この流れの変化にあって、その「ディフェンス偏重時代」に9度の優勝を果たした名将フィル・ジャクソンHCのシステムが、そしてジャクソンHC自身がその波を乗り越えることができるのか。この点が最後のポイントになるのではないだろうかと、私は考える。

 asua


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