今回は「メジャーな選手の紹介もして!」
という、読者からのご意見を取り入れ、
最近のNBAファンの方にはなじみの薄い
グラント・ヒルをチョイス!
彼をチェックしておくのは決して間違いじゃないはず!

第4回の紹介選手は


 NBAの貴公子(プリンス)、グラント・ヒル!





うっひょー、ここのページで始めたまともな写真(笑)!

 

「グラント・ヒル」


この名前が意味するところは少し前までは「オールラウンダー」そのものだった。
しかし、近年相次ぐ怪我により出場さえ危うく、
今シーズンも大きな期待を受けながら14試合の出場で今シーズン絶望となった。



Height: 6-8
Weight: 225 lbs
Position: Small Forward
Born: October 5, 1972, Dallas, TX
College: Duke

CAREER STATS
--- FG --- --- FT --- -- 3PT -- REBOUNDS
YEAR TM G MIN ATT PCT ATT PCT ATT PCT OFF TOT AST STL BLK TO PF PTS
94-95 Det 70 38.3 15.2 47.7 7.3 73.2 0.4 14.8 1.8 6.4 5.0 1.8 0.9 2.9 2.9 19.9
95-96 Det 80 40.8 15.3 46.2 8.1 75.1 0.3 19.2 1.6 9.8 6.8 1.2 0.6 3.3 3.0 20.2
96-97 Det 80 39.3 15.7 49.6 7.9 71.1 0.4 30.3 1.5 9.0 7.3 1.8 0.6 3.2 2.3 21.4
97-98 Det 81 40.7 16.8 45.2 8.0 74.0 0.3 14.3 1.1 7.7 6.8 1.8 0.7 3.5 2.4 21.1
98-99 Det 50 37.0 16.0 47.9 7.6 75.2 0.3 0.0 1.3 7.1 6.0 1.6 0.5 3.7 2.3 21.1
99-00 Det 74 37.5 19.2 48.9 8.2 79.5 1.3 34.7 1.3 6.6 5.2 1.4 0.6 3.2 2.6 25.8
00-01 Orl 4 33.2 10.8 44.2 6.5 61.5 0.2 100.0 2.0 6.2 6.2 1.2 0.5 2.8 2.2 13.8
01-02 Orl 14 36.6 13.9 42.6 5.7 86.2 0.1 0.0 2.1 8.9 4.6 0.6 0.3 2.6 2.9 16.8


<経歴をちょっと>

ドラフトの当たり年、1994年ドラフトで3位氏名を受け、
ルーキー・オブ・ザ・イヤーをジェイソン・キッドと共に獲得。
同年の一位指名はバックスのグレン・ロビンソン。
彼は当時レイカーズのGMだったジェリー・ウェストが
「彼は間違いなく数年後には得点王になる」
とまで言わしめた選手。

一方、ヒルはと言えば「いい選手だが、アウトサイドが」と高評価ながら、将来に疑問を持つ人もいた。
しかし、一方のロビンソンがルーキー過保護時代の幕開け的な年に
「スポーツ選手初の1億ドルプレイヤーになりたい」と契約でごねたのに対し、
ヒルは球団の提示した年平均500万ドルの契約で一発サイン。
また、大きな態度の目立つ新人が増える中、
謙虚な態度と、コート内外での紳士的な態度など、
その差がその後ファンの数へともろに跳ね返り、
当時流行っていた(?)「3高(高い身長、高収入、高学歴)」や
ジョーダン後継者選びにマスコミが躍起になっていたことなど
様々な要因もあり、気が付くと「NBAの貴公子(プリンス)」と呼ばれるまでになっていた。

97−98シーズンにはチームをベテランのジョー・デュマスと共に引っ張り、
54勝28敗の好成績にまで引っ張り上げ、
誰しもがネクスト・ジョーダン時代の幕開けと、グラント・ヒル時代の始まりを確信していた。

しかし、ヒルはこのチームの存続を望んだのに対し、
ピストンズのフロントは「さらなる補強、さらなる上昇」を求め動き始めた。
がすべて裏目、裏目に出てしまいついにはサラリーキャップもいっぱいになり、
しばらく身動きが出来なくなってしまった。

そんなチームを遂にヒルが見切りをつける形でチームからでることを決意。
チームとしては足止め工作に引退したデュマスをフロントへ引き入れ
(彼の場合はもちろん、彼自身の能力と人格が高いのももちろんあるが)、
チームをヒルの望む「97年型」へとシフトを変更しようとしたが、失敗。

そして、サイン・アンド・トレードでオーランド・マジックへ移籍したのである。
その時、デトロイトのファンに新聞の一面を使って
謝罪広告を入れたのは有名な話。(費用は数億とも言われている)

マジックはそのオフにトロント・ラプターズからトレイシー・マグレディも獲得し、
シャック移籍後スター不在が続いたチームに二本の光明が指したのである。
ヒルはデトロイトでの最後のシーズンである、
99−00シーズンにスコアラーとしての才能を開花させ、
問題とされてきた3Pもしっかり決められるまでになっていた。
そんな彼にスコアラーとして伸び始めていたマグレディとの衝突を
懸念する声も多かったが、ヒルの性格と能力とを考えれば
どう考えてもその危険性は限りなく低く、
ヒル・マグレディ入団前のシーズンにプレイオフ出場ギリギリまで持っていったチーム力もあり、
マジックの将来は明かり以外なにものもないかのように誰しもが思った。

トレイシー・マグレディがマジックにて期待以上の活躍をした00−01シーズン、
その横にヒルの姿はなかった。
彼は99−00シーズン終了間際に痛めた足首で無理を押してプレイオフで戦ったため、
怪我が悪化しマジックでの初のシーズンをほぼ棒に振ったのである。
衝突どころか、コート上にあることも出来ず、優勝を求め決断を下した結果にも関わらず、
こんな自分に対しヒルは翌シーズンの01−02シーズンに復活を誓った。

そして満を持して迎えた今シーズン、
あまりにも控えめすぎる数字に首を傾げながら見守っていたファンにとっても、
ヒルにとってもあまりにも無情な今シーズンの早すぎる終了。

間接に大きな負担のかかるバスケットにあって怪我で若くして、引退していった選手は数知れず。
なんとしても怪我を治し、またあの鋭いドライブを見せてもらいたいものです。

今シーズン、ヒルがいれば優勝候補であることに疑いの余地はなかったが、
今となってはそこそこの強豪止まり。
このチームにいる2人のベテラン、ホーレス・グラントとパトリック・ユーイングに残された時間は少ない。
果たして、ヒルの復帰は間に合うのだろうか。
「念願の」と願い、願ったまま終わってしまう選手が大半の中
「NBAの貴公子(プリンス)」はその「念願の」優勝をかなえることが出来るのだろうか?
戦い、敗れるならそれはそれで納得のしようもあるが、
怪我に負けてというのはあまりにも残酷。
ぜひとも、もう一度コートに戻ってきてもらいたいものです。


<プレイについての能書き>

グラント・ヒルのプレイをすばらしさを解説すると、
まずスター選手でありながらエゴが無く、
回りを生かそうとする姿勢がまずあげられる。
それがアシストの多さに反映され、時としてPGをすることも少なくなく、リバウンドもとれる。
パスはどちらかというと、堅実なものが多く、
ジェイソン・ウィリアムスのような目を見張るようなパスを繰り出すわけではないのだが、
自らがカットインしそこにダブルチームに来たディフェンダーのマークマンが
フリーになっているのを見つけてはパスを出す、
というのがデトロイトのオフェンスパターンになっていた。
よくルーキー・オブ・ザ・イヤーを同時受賞したジェイソン・キッドとの
トリプルダブルの数が比較されたが、
「オールラウンダー」
という観点から考えると、私はヒルで間違いないと考えている。

そしてなにより、彼の個人技によるプレイのすごさは、そのドライブインにある。
アレン・アイバーソンのドライブはそのスピードによる流線的な動きで相手を翻弄するが、
ヒルのドライブはそのスピードと鋭さで相手を翻弄する。

鋭さ、といってもピンとこないと思うがちょっとコートを想像してもらいたい。
いつのものだったか思い出せないが、いつかのオールスターゲームで
左サイドの3Pラインの外でボールを持ったヒルはディフェンダーに対して、
ドライブインを開始し、向き的にいうとフリースローラインのほうへと
ディフェンダーの側から言う左を抜きにかかった。
すると、それを予測していた他のディフェンスがヘルプに来て、
フリースローライン付近のその選手とマークしていたディフェンスで挟み、潰そうとした。

その瞬間!
瞬時に方向をトップスピードにあるにもかかわらず、ほぼ垂直に変え、
ちょうど2人のディフェンダーの間を縫うようにしてノーマークになって見せたのである!
結局、そこからのジャンプシュートは外れてしまったが(笑)、
あの時のプレイは今でも鮮明に思い出せる。
それほど、「すごい!」というよりも「あれ?」としか思えない、
本来不可能な方向転換。
それまで、「グラント・ヒル?大げさに騒ぎすぎ違う?」と疑問に思っていたのですが、
それ以降は「がんばれ!アウトサイドさえ身につければ無敵だ!」と
応援する派に回っていました。

もしかすると、あのドライブインは再現不可能になる可能性はありますが、
それ以外にもパス、リバウンドと多彩な能力を持ち合わせた選手。
先にも言いましたが、デトロイトではPGを勤めたこともあり、
ボールハンドリングは言うまでもありません。
マジックになくてはならないのは間違いありません。

今回の怪我が足首ということもあって、
あの異常なカットインが足首に対する負担となっていたのかも知れません。
そう言った意味では、私はヴィンス・カーターの無理矢理やっているかのようなフェイダウェイが
すごいプレイではあるのですが、
膝にもすごい負担のように思えてなりません、心配です。

マジックが優勝するためにはマグレディともう一つ、大きなインパクトが必要です。
マイク・ミラーは確かにいいシューターです。
アウトサイドの能力だけで比べると、ヒルを数段上回っているでしょう。
しかし、3Pという一芸に秀でた選手ではマグレディの補佐は出来ても、
さらに生かすことは出来ないでしょう。

彼はコートバランスを保つ天才でもあります。
わかりやすく言えば、自分がボールを持っていない時でも
チームにとってどこに自分がいるべきなのかをわかっている、ということです。
例えば、今ですとマグレディが切り込んでくるのに同じサイドでかぶってたら
「ヘルプに言ってくれ」と言っているようなもの。
それをヘルプに行きにくい場所に立ったり、という意味です。
僕が説明するよりもヒルの試合を見てもらった方が手っ取り早いと思います。
彼が復帰した暁には、ボールを持っていない時の動きをチェックしてみてください。
僕も彼の動きで初めて「コートバランスとはこういうことかぁ。」と感動したものです。
勉強になりますんで、ぜひ!

お互いを生かし、
能力を引き出しあえるのはヒルでしょう。
今シーズン、無理に急いでプレイオフだけでも、
といった昨シーズンのモーニングのような失敗は避け、
今シーズンを完全に棒に振ってでも怪我の治療に専念して、
またあのグラント・ヒルをファンに見せてもらいたいものです。






nbafanspage@hotmail.com
inserted by FC2 system