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第95回

AIとR・ディビスのトレードの噂をちょっとだけ検証

 セントポール・パイオニア・プレスが、フィラデルフィア・76ersとミネソタ・ティンバーウルブズとの間で、アレン・アイバーソンとリッキー・ディビスを中心としたトレードの噂があるとしている。(ここまではニュースより)

 この噂どおり、トレードを成立させようとすると、ウルブズ側はサラリーの釣り合いを取る為にも、他に複数のプレイヤーの放出が必要となる。

 アイバーソンの来シーズンのサラリーが約1828万ドル、それに対しR・ディビスが約636万ドル。その差は約1192万ドル。(以下、サラリーに対する「約」は省略)
 以下はウルブズで来シーズン200万ドル以上のサラリーをプレイヤー。ちなみにアイバーソンの契約残は3シーズン。

 ・マーク・ブラント 612万ドル 契約残4シーズン
 ・トロイ・ハドソン 560万ドル 同4シーズン
 ・マルコ・ヤリッチ 552万ドル 同5シーズン
 ・トレント・ハッセル 435万ドル 同4シーズン(最後のシーズンがプレイヤーオプション)
 ・エディ・グリフィン 270万ドル 同2シーズン(最後のシーズンがプレイヤーオプション)
 ・マーク・マドセン 221万ドル 同4シーズン

 この中でR・ディビスとE・グリフィンだけが契約残が2シーズン。この二人にアイバーソンの穴埋めるべくGを中心にチョイスしたら、あとはT・ハドソンとM・ヤリッチぐらいになるだろうか。
 そうなった場合、76ersはスタッツ上では下記の「+」収支となる。
 得点+8.3 リバウンド+11.2 アシスト+5.0
 もしくは怪我とは無縁ではいられないクリス・ウェバーのバックアップの為、M・ブラントを怪我の心配があるT・ハドソンの代わりに獲得する、ということも考えられる。それだとスタッツ上の「+」は同じく76ers視点で下記のとおり。
 得点+10.1 リバウンド+14.5 アシスト+3.3

 どちらにせよ、76ersはR・ディビスとE・グリフィンをからめることで2007-2008シーズン後のオフには現在のままより、およそ700〜800万ドルほどのサラリーカットが可能となる。(現在のままで今のところ2008-2009のサラリーは4070万ドル)
 ウルブズはサラリー上のデメリットとスタッツ上の不利とを引き受けることになるが、数字では表れない「オフェンスの起点」を手に入れることになり、その効果はスタッツ上の不利を埋めて余りあるものとなるだろう。サラリー上のデメリットについてはアイバーソンが契約残が3シーズンであるため、R・ディビス、E・グリフィン以外のプレイヤーは皆アイバーソンより契約残が長い。それを考えるとこちらもデメリットというほどのものとも思えない。

 両チームとも「アイバーソン中心」「KG中心」でチーム改革を推し進め、それほど悪い補強を行なったわけではない。むしろ、打てるべき手は打ったようにさえ見える。
 この行き詰った状況を打破する為に、76ersは若手の才能にかけ、ウルブズは今の巨大な才能に託す。

 決して両者にとって悪いトレードであるようには思えない。と、近年久々に思えるトレードの噂のような気がした。

 asua



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