第80回

Suns Knicksトレード


 フェニックス・サンズとニューヨーク・ニックスとの間でトレードが行われようとしている模様。
 注:Q・リチャードソンの背中の怪我の具合によってはトレードが流れる、との話もある。

 内容はニックスからはカート・トーマスが、サンズからはクウェンティン・リチャードソンがそれぞれ放出されると言うもの。加えてニックス、サンズのどちらかが条件付きでの将来のドラフト1巡目指名権を放出するようだが、どちらが出すのかは報道により異なっており、まだ確認が取れていない。どうやら、ニックスが指名権を獲得するようだが。(ここまでは「News」より)

 ニックスはこれで、いつぞやのポートランド・トレイルブレイザーズの「対シャック・メンバー」のような過剰に擁するPFを放出し、優秀なスコアラーを獲得したことになる。しかし、代わりに将来的にK・トーマスの(来シーズンから)3年2200万ドルから、同5年3700万ドルとなり、1500万ドルの支出増となる。
 ニックスはSGにリーグ屈指のシューター、アラン・ヒューストンを擁しているが、新CBAで
 「ラグジュアリータックス(注:簡単な説明がこの一番下に)を支払っているチームはプレイヤーを1名だけ放出し、そのプレイヤー分のラグジュアリータックスを減免する」
 と言うものが組み込まれる予定となっている。その為、ニックスとしてはヒューストンを放出すれば、2年で4000万ドルの経費を浮かせることができ、そのようにするのではないかと見られている。ちなみに、このルールでは、ヒューストンを放出してもヒューストンにサラリーは支払わなくてはならず、当然サラリーキャップにその額は計上される。あくまでラグジュアリー・タックスの分のみ、負担が軽減される、と言うルール。

 一方のサンズはアウトサイドの武器と引き換えにリバウンダーを獲得。加えて前述の通り、チームとしての支出を抑えることが出来た。更に言えば、契約期間が短ければそれだけトレードは組みやすい。
 A・スタウダマイヤーはよっぽどのことがない限り、ルール上限での再契約となる。その契約が始まるのが2007-2008シーズン。K・トーマスはその時、契約最終年を迎える。1シーズンかぶるが、トーマスをシーズン前に放出することも上記の通り、難しくはない。つまりは、どう動くにしても動きがとりやすくなったと言える。


 ニューヨークはスタープレイヤーでさえわずかな期間、調子が悪ければブーイングされると言う厳しい土地柄。それもあって、アイザイア・トーマスGMはあの手、この手と「劇薬」を投じてきたがここまで、期待に応えているとはとても言い難い。
 片や、サンズはこれでフロント・コートの控えが、ディフェンスとリバウンドはいいがオフェンスでは期待できないS・ハンターのみ、と言う状況を脱することが出来た。



 ビジネスでは、何をするにも「ゆとり」と言うのはありすぎてはいけないが、必要最低限、確保しておかなければならない。そうでないと、わかっていながら泥沼にはまってしまうケースがある。株しかり、急な出費で結局無駄な利子払ったり…。
 どうやらNBAでもそれは、例外ではないような気が最近してきた。

 その昔、あのブルーのユニフォームでガツガツとした美しいとは言いがたいプレーでも、はつらつといい雰囲気だったニューヨーク・ニックス。
 ファンならずとも、「そろそろ、あのニックスが帰ってきたらいいのになぁ」と思ってしまう2004-2005シーズン最終日でした。

 asua

 注:ラグジュアリー・タックス
 サラリーキャップをリーグが規定する以上に超えているチームに対して「贅沢税(ラグジュアリー・タックス)」としてリーグ規定から超えた分と同額をリーグに支払い、リーグはそれを収入の少ないチームに再分配する、と言うもの。
 この「収入の少ないチーム」と言うのはリーグの決める枠内にサラリーを収めることができたチームを指している。
 このルールの目的は、金銭的に裕福なチームと、地域事情などから金銭面で苦しいチームとの差を無くし、チーム力の均衡を図り、リーグを盛り上げようと言うもの。



↑バックナンバーはこちらから。



inserted by FC2 system