第76回

ネッツとグリズリーズがシーズン終了


 ニュージャージー・ネッツとメンフィス・グリズリーズが、2004-2005シーズンを終了した。

 ネッツはリチャード・ジェファーソンの怪我が癒えれば、スターターのキッドにカーター、ジェファーソンは来シーズンも契約下にある。十分、強豪とも渡り合うことが可能なメンバーだ。
 しかし、強豪になろうと思えば、インサイドでやや苦しい感がある。
 昨オフ、契約延長したジェイソン・コリンズが今シーズンの6.4得点&6.1リバウンドにFG%・41.2%の数字を向上させるか、プレイオフで頑張りを見せたネイナッド・クリスティッチの成長を期待する他は、サラリーキャップがほぼいっぱいとなる思われるネッツには手がない。
 トレードでの補強も考えられるが、誰を出すかによってはまたもや一気に再建期突入と言うのも十分に考えられる。

 グリズリーズは実に難しい時期を迎えている。
 昨シーズン、念願のプレイオフ進出を果たすと共に、50勝を挙げたが今シーズンは45勝と足踏み状態。
 と言うのも、サラリーキャップがいっぱいで補強に動くに動けなかったことが大きい。インサイドにもう一枚欲しいグリズリーズだが、サラリーキャップが珍しい埋まり方を見せている。チームでサラリートップが770万ドルのボンジ・ウェルズ。これはNBAではチームで一番のサラリー、として見ると決して高いほうではない。しかし、同レベルのサラリーのプレイヤーが非常に多い。バイアウト(契約の買取)をした分もサラリーに含まれる為、その分を入れると500万ドル以上のサラリーを9人に払っていることになる。これだけですでにサラリーキャップは埋まってしまう。
 しかし、来シーズンはB・アウトローのバイアウト時のサラリー清算が今シーズンで済み、ボンジ・ウェルズの来シーズンの800万ドルのサラリーもチームオプション(有効とするかどうかをチームが決定できると言うもの)の為、カットが可能だ。だが、パウ・ガソルとの新契約が始まり(来シーズン1096万ドル)、サラリーキャップは現時点、8名のプレイヤーを確保している段階で4600万ドルを超えている。(S・バティエ、J・サカリディスは金額が不明の為、プレイヤー数にも4600万ドルのうちにも入れていない)
 そんなチームの台所事情だが、まずしなければいけないことは、そのキャップを更に圧迫しかねないが、なんといってもE・ワトソンとの再契約だ。ワトソンは今シーズン、ベンチからの出場で22.6分プレーし、7.7得点&4.5アシストを記録する、貴重なベンチプレイヤー。特にゲームの流れを安定させたい時や、ディフェンスでは定評がある。
 その上で、やはりもう一枚、インサイドに加えることが出来れば、他のポジションが充実しているだけに、チームが化ける可能性は十分にある。
 だが、それ以前にチームが解決しなければならない問題は、噂にも挙がっているジェリー・ウェストGMの残留だろう。
 バンクーバー・グリズリーズと呼ばれていた頃から、様々な失敗と不運とで、がんじがらめになっていたチームを昨シーズンの50勝、プレイオフ進出へ導いたウェストGMの手腕は確かなもの。
 ネッツと違い、トレードで好条件が引き出せそうなのが、来シーズンで契約が切れることを売りに出来るロレンゼン・ライトぐらいで、良くも悪くも再建期突入とはなりにくい。だが、経費削減が多くのチームで求められるようになってきた最近でも、「即戦力」を求めるチームはある。
 ジェリー・ウェストGMの勇退。経費削減を(将来的に)目的としたトレードなどが行われれば、あるいは再建期突入ともなりえる。

 ネッツはないとは思うが、ジェイソン・キッド。グリズリーズはジェリー・ウェストGMの去就がそれぞれのチームの方向性を大きく左右することになりそうだ。

 ちなみに、キッドはシーズン当初はトレード希望をチームに出していると噂され、カーター獲得を受けそれを取りやめたともされていたが、少し前に「まだトレードを希望しているのでは?」との噂が流れた。
 ウェストGMは退任の噂が今シーズンに入ってからかなり真実味を帯び、流れている。

 NBA有数のPG、ジェイソン・キッド。
 敏腕GMのジェリー・ウェスト氏。
 この両者がもし、チームを離れるとなると、来シーズンの勢力図に決して小さくない影響を与えることは必死。


 他のプレイオフ・チームたちよりも、半歩早くシーズンを終えた両チーム。
 のんびりバカンス、とのゆとりはチーム首脳陣にはなさそうだ。



asua



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