第71回

「レイカーズvsヒート!」


 


 今年の夏、それまでフィル・ジャクソンHCを頂点に、フロントコートにシャキール・オニール&カール・マローン、バックコートにコービー・ブライアント&ゲイリー・ペイトンとNBA史上稀にしか見ることの出来ない布陣を誇っていた「最強レイカーズ」が崩壊した。

 フィル・ジャクソンは辞任。
 ペイトンはトレードでセルティックスへ。
 マローンはFA。
 そしてオニールはトレードでヒートへ。

 これまでコービーはNBAに入った当初からレイカーズでプレーしていたこともあり、対決の実現しなかった。その両者がいろんな因縁をひっさげ、遂に今日激突!


 序盤、突き放すかに見せたレイカーズ。
 C・アトキンス、L・オドム、K・ブライアントと立て続けに3Pを決めリード。
 しかし、それでも離されないヒート。
 思わぬハイスコアなゲーム展開になるもシャックを軸に得点を上げるのは周りのプレイヤー。中でもゲームを通してシャックとウェイドとの間でスキをついて得点を上げるE・ジョーンズはお見事。マッチアップではコービー相手に苦戦を強いられるも健闘を見せた。

 レイカーズはコービーを軸にオフェンスを展開。
 まず文句のない内容と言っても良いかも知れないが、結果として敗れた。
 コービーにスクリーンからのカットインをさせ、シャックにファールを誘った(2つ。2つ目でシャック、ファールアウト4Q)のは智将トムジャノビッチHCのさすがの手腕。
 しかし、オーバータイムに入り「対シャック」を徹底していたレイカーズが、未知なる動きで得点を上げるウェイドを止める事が出来ず、コービーの3Pがブザーとともに外れ、東の強豪が勝利を飾った。

 レイカーズで気になったのが、いい面ではオドムの動き。悪い面では「またか」と言われそうだがやはりコービーのパス。

 この二つの説明で一番わかりやすいシーンが今日もあった。
 コービーが左サイドのハイポストからローポストへドリブルして得点を狙っている間に、右サイドのゴールしたではオドムがフリーで、アリウープパスなりなんなりをひたすら手を振って要求していた。
 他にも
 「オドムがいい位置。ボール、コービー。パス出ず」
 と言うシーンはいくつか見受けられた。これは逆にコービーがいい位置でパスが出ない、と言うシーンもあったが・・・。
 コービーからのパスでは、C・アトキンスへのパスなんかでもワンテンポ遅いように思えたのは私だけだろうか。あの「フリー→パスを待つ→パスがくる」の「待つ」シーンでそれこそ、スパーズやジャズのようなチームディフェンスのしっかりしているチームであれば、フリーを潰すことは十二分に可能なように思えた。

 ゲーム開始からまず最初のショットを決めたかったのか、無理な体勢から二人につかれた状況でショットを放ったコービー。二本目こそ入ったが、あれが今のレイカーズの問題を浮き彫りにしているように思えた。
 ヒートは今日、反対に「対コービー」を意識しすぎるあまり、他のプレイヤーへのディフェンスが疎かになっているシーンがあった。しかし、勝ったのはレイカーズではなかった。コービーが42得点を上げながら(序盤、決まりに決まった3Pを結局打ち続けすぎ、5/13としたのも)…。と言うか、チームでのターンオーバー15、うちコービーが9!で、気になったのでみて見ると現在リーグトップのゲーム平均4.7のターンオーバーを犯しているのが紛れもなくコービー・ブライアント…。しかも2位がアレン・アイバーソンで4.4と、まだシーズン序盤ながらダントツの差。

 もちろん、ヒートにも問題はある。
 まず、文句なしの大黒柱シャックが敵の罠に引っかかり、まんまと4Qに退場しているようでは…。FTも2/7…。
 更にはベテランのC・レイトナーの起用はディフェンスを広げる意味でも、意味はあったしFT%・81.0を誇るインサイドプレイヤーは終盤確かに貴重な戦力だった。渋いプレーもあり良かったのかも知れないが、それはあくまでオフェンスでの話。ディフェンスではレイトナーがついたオドムに手も足も出ず文字通りやられたい放題といった感じ。しかも、そのマッチアップが一度目は仕方ないにしても終盤、同じマッチアップで挑みまたやられると言う始末。これは無策が過ぎるのではないだろうか。なんだか、シカゴ・ブルズの頃のトニー・クーコッチを思い出すシーンだった。
 ウェイドも見事な働きだった一方、アウトサイドでの思い切りの良さがなかったように思える。打っていいだろう、と言うシーンで打たなかったのが何度か。今日は外の調子がよくないと見ただけかもしれないが、今チームは外からのオフェンスを切望しているだけに気にせずにはおれないところ。
 個人的に多大な期待をしているシャンドン・アンダーソンは全く見せ場なし。
 ウェイド-シャック間のホットラインは健在だが、まだまだチームとしてはシャックを使いきれているとは思えない。シャックの1対1を「見守っている」今の状況から一歩前進できれば更なる飛躍が期待できるように思えた。



 両チーム共にまだまだメンバーが固定されて間もない。トータルで見た場合、戦力差はさほどないものと思われる。ただ、それだけに、次回の対決までにどう転ぶかが見もの。
 次回の対決はヒートの地元で3月17日に行われる。


asua




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