第68回

「ジョーダン狂想曲、再び!?」


 


 あの「神」、マイケル・ジョーダン氏に三度復帰の噂が挙がっている。
 ジョーダン氏はこの夏にマイケル・フィンリーやアントワン・ウォーカーなどとプレーし、2003年にワシントン・ウィザーズで引退した当時と同レベルでプレーできていたからだと言う。
 41歳のマイケル・ジョーダン。
 ウィザーズに復帰し、プレーした姿は私の年齢に対するイメージをことごとく粉砕して見せた。
 だが、ここでもし、復帰するとしても最大のハードルとなるのは前回同様、ジョーダンがただの1プレイヤーではなく、ジョーダンであることだ。
 ワシントン・ウィザーズでのプレーは年齢的にバックコートのプレイヤーとして限界を超えていながら、NBAのスタープレイヤーとしてプレーしてみせた。
 しかし、ジョーダンの復帰を「成功」と見る人は少ない。
 それはチームの目標としていたプレイオフ出場が達成できなかったからか、二年目の骨折以来大きな怪我が無かったのに多くのゲームで欠場余儀なくされたからか。
 そうではない。
 「マイケル・ジョーダン」と言うプレイヤーに観客は想像を超えることを希望している。

 「馬鹿な!」
 「信じられない」
 「まさか!?」

 ジョーダンの復帰が決まったワシントン・ウィザーズがプレイオフ争いをするなど多くのファンは想像もしなかった。話題はもっぱら「ホームコートアドバンテージを取れるのか!?」と言うもの。加えて「いや、ジョーダンなら取れなくても・・・」と、プレイオフで勝ち上がりに二年目には優勝さえも議論された。
 しかし、蓋を開けてみるとプレイオフ出場は両シーズンとも叶わず、ジョーダンは怪我に悩まされ、NBA歴代一位の得点アベレージを維持するのがやっと。
 時折爆発し、「マイケル・ジョーダンの片鱗」を垣間見せるものの、いや、見せたからこそ常の姿に失望を禁じえなかったではないだろうか。

 「これまでは仕事をし、その後ビール片手にゲームを見る人の為にプレーしてきた。これからは自分の為にプレーする」

 ジョーダンは二度目の復帰を前にそうコメントした。
 シカゴ・ブルズを去り、ワシントン・ウィザーズも去らざるを得なくなったNBAのスーパースター。
 噂が上がっているのがかつてジョーダンと、プレイヤーとコーチと言う間柄でありながら奇妙なライバル関係にあったパット・ライリーGMのマイアミ・ヒート。
 現在、NBA最高プレイヤーであるシャキール・オニールを獲得し優勝へ向け、ベテランをかき集めているヒート。
 だが、2003年の引退の時、これまで頑なにいくら数字が低かろうと「0」としなかった復帰への確率をジョーダンが始めて「次は100%ない」と明言した。また、ウィザーズ時代のプレーに本人が納得しているとも全盛期を振り返ると考えにくい。
 そうなってくると、「引退当時と同レベルのプレーが出来ている」として復帰の可能性を報じているが、むしろそのレベルのプレーしか出来ていないからこそ、復帰は無いのではないかと私は考える。

 かつてコート上でファンの度肝を抜いて見せたライリーとジョーダン。
 二人のコンビをもちろん、私も見てみたい。見てみたいが、この二人がお互いを支えあうのではなく、競い合い破るためのみに互いを必要としあっているように感じるのは1ファンの勝手なイメージだろうか。


 コートサイドから大声で檄を飛ばすライリー。
 ショットを沈めるジョーダン。
 ライリーの力いっぱいのガッツポーズ。


 マジック・ジョンソンのパスを受け、ショットを決めるラリー・バード。
 この「夢」は「ドリーム・チーム」によって叶えられた。
 1993年のオールスターゲームで見た二人の競演。
 10年を超える時を経て、理屈では難しいとわかっていながら、期待してしまう。
 これこそが二人のスター性を証明するものなのかもしれない。
 そして、期待する感情とは裏腹に頭は「やめておいた方が・・・」との警告を発しているのも確かだ。しかし、それでも見てみたい。
 私の理屈が二人のスター性に敵うはずがない・・・。

 asua



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