第58回

Spurs vs Lakers、Game5!」





 残り5.4秒。71-72でレイカーズリード。ウェスタンカンファレンス・セミファイナル、Game5。シリーズ成績はスパーズ2連勝の後、レイカーズもホームで2連勝し2-2のタイ。このゲーム、スパーズが取れば、次のロサンゼルスでのゲームに敗れたとしてもスパーズはホームで最終戦を迎えることが出来、一方レイカーズが勝てば次のホームでのゲームに勝利すればカンファレンスファイナル進出が決まる。よく「これは負けられないゲーム」と言う表現をするが、プレイオフにおいては全てが「負けられないゲーム」だ。しかし、この一戦は「負ければ取り返すことが困難なゲーム」だった。
 パスが入らない中、ボールを受けたのはエース、ティム・ダンカン。右サイドラインからゴール正面の3Pライン内側でボールをもらい、右にターンしてショット。体はやや右に流れ気味、しかも距離がダンカンの得意とするものより遠かったこともあり、「難しいか!?」と思った。しかし!なんと、ショットはネットに沈み、73-72でスパーズがリードを奪った!
 狂喜するスパーズの面々とホームのファン。残り時間はわずか0.4秒。普通にボールをミートしてショットするには約0.8秒かかり、言うなれば普通にショットすることさえできない残り時間。もちろん、タイムアウトを取るレイカーズ。終盤、調子を落としているコービーを使うのか、ここまで4本の3Pを沈めているD・ジョージを使うのか。
 何度かお互いにタイムアウト取り、それががあけ、左サイドラインからのスタート。
 コービーがサイドラインまで来てボールを要求したが、出せない。空いているのが先ほどのダンカンの同じぐらいの位置にいるマローン。と、走りこんできてデレク・フィッシャー。ボールが入ったのはフィッシャー。ボールが入ると同時に振り向きざまのショット。ショットとほぼ同時にタイムオーバーとなり、そしれボールはネットに!なんと再びレイカーズが74-73で逆転し、ゲーム終了!
 飛び跳ねるレイカーズのメンバー、笑顔のフィル・ジャクソンHC。対するスパーズのメンバーは「信じられない」と言った顔でショットがタイムオーバー後ではないか?との一縷の願いにかけているようだった。しかし、ショットは確かに微妙なタイミングだったが確かに時間内に放たれたもの。レイカーズの勝利が確定した。

 最初、ゲームの主導権を握ったのはレイカーズだった。
 ゲーム開始からシャック、コービー、マローン、D・ジョージとバランスよく得点を重ね、ペイトンもFTで続き、勢いは無いが徐々にスパーズは離されていった。しかし、このバランスがコービーへ偏り始め、序盤こそその期待に答えたもののゲームが続くにつれ、コービーのショットの精度は落ち、その間にスパーズのデヴィン・ブラウン、エマニュエル・ジノビリに反撃を許し、点差を詰められ仕上げたのがT・パーカーとT・ダンカンと言うレイカーズとしては最悪の流れ。
 シャックがここでやっとゴールを決め、なんとかリードを保って運命のラスト5.4秒の死闘へとつなぐことは出来たが。

 スパーズはダンカンへのプレッシャーが厳しくなると、パーカー、ジノビリのカットイン、ボーウェン、ターコルーの外からのショットで状況の打開を図るのがスパーズの形。しかし、今日のレイカーズディフェンスは各プレイヤー、特に対ダンカンのディフェンスでマローン、シャックが1on1でのディフェンスで踏ん張って見せ、ダブルチームで潰されたのももちろんあるが、1on1でも楽にショットできなかった。
 また、これはスパーズも頑張っていたところだが、両チームがボールを運ぶ時点でしっかりプレッシャーを与え、オフェンスをする時間的なゆとりを削ったことがGame5の両チーム70点台と言う結末につながったのではないかと思う。

 ゲーム後、スパーズはラストプレーに関して成立を不服として異議を申し立てた。
 「明らかにスタートが遅かったと思う」(nikkansportsより)
 とポポビッチHC。ショットが放たれたのは時間内だが、時計のスタートが遅かったというものだ。
 この異議が認められるかどうかはわからないが、筆者の記憶にはゲーム後、このような異議が認められた記憶は無い。

 これでシリーズ成績は3-2で、レイカーズがカンファレンス・ファイナル進出へ王手をかけた。
 スパーズが33勝8敗、レイカーズが34勝7敗と互いにホームコートで絶対的な強さを誇っているだけにスパーズはGame6、厳しい戦いを強いられそうだ。

 asua



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