第52回
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トレードデッドラインが過ぎ、今シーズンのトレードが完了しました。 最後の駆け込みトレードは4件。 その壱! デトロイト・ピストンズ-アトランタ・ホークス-ボストン・セルティックスの3チームで行われました。 ピストンズがホークスからラシード・ウォレス、セルティックスからマイク・ジェイムスを獲得し、 ゼイコ・ラブラスカ、ボブ・スラ、2004年1巡目指名権(元バックスのもので、ナゲッツを経てピストンズへ)がホークスへ、 リンゼイ・ハンター、チャッキー・アトキンス、2004年1巡目指名権に金銭がセルティックスへ放出されました。 他にセルティックスからホークスへFのクリス・ミルズが放出されています。 イースタン・カンファレンスで3位に付けているピストンズ。 このチームの課題はインサイドでの得点力不足。期待されたドラフト2位指名のダルコ・ミリチッチは HCの信頼が得られず、ここまで満足に出場機会を得られていません。 (現地ではジョー・デュマスGMに対して3位指名のカメロ・アンソニーを指名しなかった、と言う批判もあるようです) そこで今回、R・ウォレスを獲得。一気にインサイドでの問題解決を図るつもりのようです。 「私は彼(ウォレス)に長い付き合いにしたい、と言ってある。」 デュマスGMはオフになれば、サラリーが下がってもミドル例外条項でニックス入りを希望する、とウォレスが これまで言ってきたのを受けて、こうコメントしています。 (ここまでは「ニュース」より) ホークスは今シーズン、明らかに「戦力削減」を希望しており、より少ない勝利数で高順位のドラフト指名権獲得を目指しています。 (NBAではプレイオフに出れなかったチームでドラフト指名権のロッタリー、要はくじ引きが行われ、それによってドラフトの上位指名権を どのチームが獲得するかを決めます。その確率は勝率が低ければ低いだけ上位指名権を得やすくなっています) そうなれば、ウォレスの放出に問題なく(むしろ、希望する?)、今回のトレードで獲得したC・ミルズ(怪我で今シーズンプレーせず)、 ラブラスカ、B・スラでは戦力もミルズを筆頭に期待できず、 いずれも今シーズンで契約が切れ、来シーズンのサラリーキャップを空けるのにも支障はありません。 しかも、ドラフト指名権が付いてくる、とあればホークスとしてはいいとこだらけ。 セルティックスは現在、イースタンで10位、8位の76ersとのゲーム差は0.5とまだまだプレイオフ射程圏内。 しかし、目標が「優勝」であるこのチームで現状は苦しいもの。 そこで期待の若手ジェームスと怪我で戦力外のミルズを放出し、その穴を埋められる両ベテランを獲得し、戦力としては±ナシの計算。 で、オフの一巡目指名権だけプラス、との腹積もりでダニー・エインジGMが決断したのかと。 ピストンズは問題のバックアップPGにインサイドの得点源を獲得し、戦力としてはスタッツ以上に意味のある補強に。 問題はジェームスにウォレス共にオフにFAとなる点です。 特にウォレスはニックス入りを獲得以前から希望しており、高額での契約が不可能な ニックスにミドル例外条項のサラリー(現状より大分サラリーが下がる)でも移籍したい、とも言っています。 もし、そうならず残留してくれれば、前述のように大きな戦力補強となります。 逆に移籍したとしても、浮いたサラリーでジェームスにM・オクァは残留させることもできる、としてのトレードかと。 (今回のトレードでピストンズは来シーズンのサラリーを420万ドル、カットすることにも成功しています。もちろん、ラリー・ブラウンHCが トレード前からウォレスを褒め称えていることを考えると、残留させることがチームの第一希望のようですが) それ以上に痛手になる可能性があるのが、ドラフト指名権の放出。 ピストンズはこのトレードでオフの2つの一巡目指名権を失うことになりました。 ジョー・デュマスGMとしてはバックス(一つは元はバックスの指名権で、バックスの成績により指名順位が上下する)と ピストンズが現在、イースタンで3位と5位と比較的好調なことを考慮し、指名権が高順位にならない、と判断。 そこで低い指名順位と、ウォレス&ジェームスを秤にかけた場合、後者に秤が大きく振れた、と言うことでしょうか。 もちろん、現在の戦力が充実し、E・キャンベルとの契約が来シーズンいっぱいで、年齢も今年36歳であることを考慮し、 今回、「シーズン途中に大きくメンバーを入れ替える」と言う優勝を狙うチームとしてはあるまじき行為をしてまで、 「来シーズン勝負」に出たのではないか、と思われます。 一口データ 10.7得点&3.4アシストを記録するマイク・ジェームスは今シーズンで契約が切れるもサラリー63万ドル。 ラシード・ウォレスは1698万ドルのサラリーながら今シーズンも17.1得点&6.6リバウンドを記録。 チャッキー・アトキンスは180cmのPGで、今シーズン6.2得点&2.4アシストながらFG%は37.5といまいち。 リンジー・ハンターも186cmのPGで11ゲームに出場し、かつては3Pとディフェンスで 頼れるバックアップPGだったのですが今シーズンは3.7得点どまり。 ゼイコ・ラブラスカは211センチのセンターで31歳。3.1得点&2.3リバウンド。 ボブ・スラは3.8得点を記録する196cmのSGで30歳。 その弐! ユタ・ジャズ-オーランド・マジックとの間で ジャズからキオン・クラーク、ベン・ハンドログテンがサンズへ、 サンズからトム・ググリオッタと2つの条件付き一巡目指名権 2005年二巡目指名権といくらかの金銭をジャズが受け取りました。 「過去二年間、明らかに彼は望んだだけプレーできなかった。けれど、我々はチャンスを与えるつもりだ。」 ジャズのケヴィン・オコナーGMはこうググリオッタを評しています。 「彼に問題はなかった。今後、彼が幸運であって欲しいよ。サンズは違う方向へと入っている。 これ(トレード)は彼のためにもよかったはずだ。」 サンズのマイク・ダントニHCはググリオッタのトレードについてこうコメントしています。 6年前、サンズはPFのアントニオ・マクダイスとの再契約に失敗し、ググリオッタと現在の契約を結びました。 しかし、皮肉にも今度はマクダイスがサンズに戻り、ググリオッタはジャズへと旅立ちました。 これについてマクダイスはこうコメントしています。 「貴方の知っての通り、これはビジネスだ。貴方が何を期待しているのかは知らないが。」 (ここまでは「ニュース」より) 今回のトレードでサンズは 「クラーク、ハンドログテンが欲しかった。ググリオッタを出したかった」 と言うより(両プレイヤーともオフにはFAですので) 今シーズンのサラリーキャップをカットしたかった、のではないでしょうか。 トレードまでサンズの今シーズンサラリー総額は約5882万ドル。ラグジュアリー・タックス課税ラインを5200万ドルと仮定した場合、 チームトしての支払い総額は約6564万ドル。それがトレード後、サラリー総額が5252万ドル、支払い総額で5304万ドルと なんと1260万ドルもの節約となったのです!もちろん、それより失った一巡目指名権二つはとてつもなく大きく、 サンズの得意とするドラフト指名権が失われたわけでして、再建にとって大きな痛手となりそうです。 一方、ジャズは今回のトレードで今シーズンのサラリー総額が630万ドルも膨れ上がりましたがそれでも総額で3682万ドル。 ググリオッタはオフにはFAとなりますので、再建に影響を残すことなく、 ドラフト一巡目指名権を二つと二巡目指名権を手にしてことになります。 (しかも、サンズはここまでウェスタンで最下位。 トレードされた指名権が何年のドラフトのものか明らかにされていませんので、オフのドラフトで期待できるかどうかはわかりませんが) 余談で、今回のトレードとは関係ないのですが、なんと来シーズン、ジャズのサラリー総額はこれまでのところ868万ドル! もちろん、代わりに来シーズンも契約があるプレイヤーは4名だけ。名のあるM・ハープリングとA・キリレンコだけですが。 一口データ キオン・クラークは206cmのCで28歳。今シーズンは怪我で2ゲームに出場したのみ。 ベン・ハンドログテンは17ゲームに出場し4.0得点(FG%・53.2%)&3.2リバウンドを記録する205cmのPF30歳。 ググリオッタは今シーズン30ゲームに出場し、平均10.1分の出場で2.3得点&1.9リバウンド止まりですが サラリーは1166万ドルで、今シーズンが契約最終シーズンです。 その参! ユタ・ジャズはオーランド・マジックともトレードを行い、 ジャズがデション・スティーブンソンと二巡目指名権を、マジックがゴードン・ギリチェックをそれぞれトレードで放出しています。 (ここまでは「ニュース」より) このトレードはややスタッツ的にギリチェックが好成績、と言う状況ですが、 スティーブンソンはオフに「制限付きFA」、ギリチェックは「FA」。 資金にあまりゆとりのないマジックはサラリーを抑えて再契約できる可能性がやや高まるスティーブンソンを、 逆に資金にゆとりがあり、いいプレイヤーが欲しいジャズはギリチェックを、と言うことでしょうか。 で、スタッツ上、やや好成績をギリチェックのほうが残しているので2順目指名権をつけたのでは。 一口データ デショーン・スティーブンソンは196cmのSGで22歳。11.4得点(FG%・44.5%)を記録する期待の若手。 ゴーダン・ギリチェックは198cmのSGで27歳。今シーズンは10.2得点&FG%・44.0%&3P%・40.7%を記録。 その四! オーランド・マジックがニューオリンズ・ホーネッツとのトレードもまとめ、 ホーネッツがショーン・ルックス、マジックがシャモンド・ウィリアムスをそれぞれトレードで放出しています。 (ここまでは「ニュース」より) ん〜、これは・・・。なんでしょうか。ベテランのフロントコートをマジックが欲し、ホーネッツが無駄なサラリーを抑えたかった、 と言ったところでしょうか。ちなみにこのトレードでホーネッツは約30万ドルのサラリーカットに成功しています。 一口データ ショーン・ルックスは205cmのCで34歳。35ゲームに出場し2.3得点を記録。 シャモンド・ウィリアムスは28歳、183cmのPGで今シーズン5.0得点を記録しています。 今シーズン、トレードはこれで締め切りとなりましたが、オフにはR・ウォレスの問題、コービー・ブライアントのFA問題、 注目のE・ダンピアーの去就などなどなど・・・。まだまだ目が離せません。 ちなみに「Rebuild」は今日からトレードができない時期に突入しますので、いくらない知恵を絞っても悲しくなるだけですので しばらくはオヤスミです。次回はFA戦線が始まる前か、落ち着いた頃になると思いますので、悪しからず。 asua 疲れました・・・。 期限直前のコラムのアップラッシュとこれで・・・。 |
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