第37回は前回に引き続き、試合評を!

2002-2003シーズンプレイオフ

ウェスタンカンファレンス・セミファイナル

サンアントニオ・スパーズ vs ロサンゼルス・レイカーズ
Game 3


シリーズはレイカーズの一角を担うSFリック・フォックスの戦線離脱もあり、
大方の予想を覆すホームのスパーズが2連勝。
そして、レイカーズのホームコート、ステイブルズセンターへ場所を移して今日のゲーム3。

レイカーズスターターにはゲーム1で左足首を捻挫し、
ゲーム2を欠場したSFのデヴァン・ジョージが復帰し、

PG:D・フィッシャー
SG:K・ブライアント
SF:D・ジョージ
PF:R・オーリー
C:シャキール・オニール

のラインナップ。

対するスパーズは

PG:T・パーカー
SG:S・ジャクソン
SF:B・ボーウェン
PF:T・ダンカン
C:D・ロビンソン

のいつもどおりのスターター。

ティップオフはシャックがロビンソンに勝ち、
ボールはレイカーズに。
レイカーズはこれまでと違い、シャックをハイポストへ配置し、
スクリーン、パスアウトと活用し他のプレイヤーが得点すると言った
これまでと違うスタンスでスタート。
これが見事に決まりディフェンスに定評のあるスパーズ相手に得点を量産。
怪我から復帰したD・ジョージもオフェンス、ディフェンスともに頑張りを見せ,
特にオフェンスでは今日のスタートダッシュは彼のおかげと言ってもいいほどの活躍。
しかし、シャックも負けじと(?)、あの脅威の「ワンマン速攻」を決め会場を沸かせ、
1Q終盤にはローポストプレイも解禁されるとアシストに徹していたシャックも得点をし始める。
しかし、これに対してはさすがスパーズ、完璧に、とはいかないまでも
ここはいつものシャックより低確率に抑えて見せる。
ゲームはオフェンスが上手く機能しているレイカーズがディフェンスでもいい動きを見せ,
スパーズは逆にディフェンスが崩され、決められるはずのショットも外し
序盤からレイカーズの大量リード。
しかし、好調レイカーズの先頭を走るD・ジョージが3ファールと
29-17と大量リードして1Qを終えるも不安の残るものと。

2Qのスタートはダンカン、ロビンソン、シャックのインサイド陣がベンチと言うもの。
スパーズの秘密兵器、E・ジノビリからオフェンスファールを獲得し、
いまだペースはレイカーズかと思いきや、
ここでスパーズのM・ローズがインサイドで得点を重ね、
たまらず、レイカーズはシャックを投入。
(代わりに出ていたS・ウォーカーはファールしか出来ず・・・。)
しかし、ここでも頑張ったのがスパーズベンチ陣。
スピードのあるG、S・クランクストンがカットインからパスをさばき、
D・フェリーが決めて見せ、点差は縮まるわ、
そこへきてシャックが3ファール目を取られるわ・・・。
レイカーズベンチ陣には多くは求めることは出来ず、
いやな空気がレイカーズ陣営に流れ出したところ、
それを打破したのが、そのレイカーズベンチ陣の応援団長(?)M・マドセン!
マドセンは連続してオフェンスリバウンドを獲得してみせ
チームを鼓舞すると、2Q好調のM・ローズからスティール。
ダンカンにマッチアップすれば、不器用ながら
地味に守れる限り守ってみせ、ここでも100点満点中65点と言う
十分、立派にその任をこなしてみせる。
もちろん、リバウンドでも頑張り、もはや立派はNBAプレイヤーかと思った2Q終了間際。
コービーからのゴール下へのナイスパスをしっかり(?)外してみせ
「らしさ」も忘れず披露し、マーク・マドセンの一長一短を見て
前半終了。


前半終了間際にコービーに肘を食らって倒れたジノビリの様子が気になりましたが
問題ない様子。
3Qのスタートはスターターと同じ。
開始直後にコービーが3Pを決めるも、
PGのD・フィッシャーが3つめのファールを犯し、点差はあるも
ダンカンがこのQに入り好調なこともあり、
一気に流れがスパーズに流れそうな雰囲気に。
ダンカンに対してディフェンスするのはオーリー。
これまでのゲームと違い、オフェンス、ディフェンスともに
積極性が見られるものの、相手が2枚上手のようで
このマッチアップでは苦しい様子。
ここへきてコービーが悪い癖をみせ、2つ無理攻めからターンノーバー、
チームとしてもレイカーズは凡ミスを連発。
点差が見る見る詰まっていく中、
それでも崩れなかったのはなんと言っても大黒柱シャキール・オニールの大きな成長のお陰。
「失点」と「自身のファール」を計りにかけた場合
「自身のファール」の方が遥かに大きな損失になることをよく理解し、
自制してみせ、スパーズのインサイドでの攻撃に対してファールせずに
地味に守ってみせた。
そこでフィッシャーが間をつなぐ得点をあげる頼もしい活躍。
立て直したかに見えたレイカーズに楔を打ち込んだのはやはり、ジノビリ。
Q終了ラスト1分の間に5得点を挙げ、勝負をラスト第4Qへと引っ張る。


第4Q、序盤に2/4と今ひとつだったFTをコービーが2本しっかり決め、
続けてバスケットカウント・ワンスローに
S・ジャクソンのテクニカルファールのFTも決め、6点を連取。
ここで点差はゲーム最大の20!
さらにハイポストのマドセンからのナイスパスを受けて
豪快なダンク!
ダンカンもダンクで応酬するもその後、カットインからファールを誘い、
これもしっかり決めてみせ、第4Q開始から2分足らずのうちに
なんとコービー10得点!
シャックはこのQになってダンカンをディフェンスし、
かなり低い確率にダンカンを抑えてみせていました。
そしてその後もコービーはマドセンにアシストをさばくなどいい働きをするも
あの自身がオフェンスをミスった時に「ファールだろ!?」と
アピールする暇があったらディフェンスに戻ったほうがよさそう。
事実、戻っていれば防げたであろうスパーズの速攻が2本ほど・・・。
さて、レイカーズはシャックを休ませるも、20点差をきると即投入と言う
万全の体制。
ボーウェンが3P、K・ウィルスがインサイドと得点すれば、
シャックが返すという展開で点差は20を行ったり来たり。
そのままラスト4分を切った時点で今日はめずらしくシャックより先に
コービーがベンチへ。
ここへきてやっと出番となったスパーズのS・スミスにS・カー、
レイカーズのメドベデンコ。
そしてそのままあとは時間だけが流れゲーム終了。

110-95でレイカーズがカンファレンス・セミファイナルで初の勝利を挙げ、
対戦成績を1-2としました。



レイカーズはこれまで
「シャックが得点」

「ディフェンスがシャックに集中」

「周りのプレイヤーが得点」

と言うパターンでしたが、今日は全く逆で
それが見事に功を奏した形。

スパーズはゲーム2で活躍したボーウェン、S・ジャクソンが全く調子に乗れず、
レイカーズのディフェンスを崩せても決まらない状況では・・・。
そしてなんと言ってもPGのT・パーカーが第3Qに初FGを決めているようでは
せっかくの強みであるPGというポジションを生かしきれているとは言いがたいですね。

しかし、これでも対戦成績はスパーズの2-1。
レイカーズはまだ崖ップチからそんなに離れた、とは言い難く
また、スパーズは勝利が大きく揺らいだわけではありません。
問題はこの勝利を、敗戦をどうチームとして処理するかでしょう。
消化吸収し前へ進むのか。
消化不良を犯し、同じようなゲームをしてしまうのか。
ゲームは勝ったほうにも、負けたほうにも課題を突きつけます。

ゲーム4、突きつけられた課題をクリアしているのは
果たしてどちらなのか。
あまりにも少ないゲームとゲームの間に
コーチはどう戦術を練り、リーダーはどうチームをまとめるのか。


少なくとも「時間ないから」なんて言っている暇はないでしょうね。


asua



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