第34回は

ゾーン・ディフェンスとマン・ツー・マン・ディフェンス。

その弐
「マン・ツー・マン、ゾーンそれぞれのメリット、デメリット」


先の「その壱」と内容がダブるところもありますが、
その点はご了承ください。


図−1


図−2


図−3




マンツーマン・ディフェンス

その構造はいたってわかりやすく、
一人のディフェンスが一人のオフェンスを
専属でマークする、と言うものです。

そのマンツー・マン・ディフェンス
(以下マンツーマン)
のメリットですが
そのまんまですが、マンツーマンはオフェンス一人について
一人のディフェンスが着くわけですので
オフェンスには必ず誰か一人ディフェンスが
「常に」着いているわけです。

つまり、常にオフェンスが誰かにマークされた状態にあるわけです。
つまり、パスを入れる前の時点においても
既にマークが着いているわけで、
オフェンス開始から
ずっとプレッシャーを与え続けることが出来るわけです。
このディフェンスを採用することで
「パスを入れるのが難しい」
「オフェンス(1on1など)を始めるまでに時間を使ってしまった」
などのシュートまでの過程に置いて
プレッシャーをかけられることがゾーンとの
一番の差かと思われます。
次には多くの「基本的な戦術」がそうなように
崩れにくい、と言うもの。
コート上で、ゾーンと違い「ここのディフェンスが弱い。」と
言ったポジションがなく、フリーは自身で作るしかない為、
チームとしての「マンツーマンへのオフェンス」が
必要とされます。

これを外すには当然、スクリーンなどの手段が取られるわけですが
その話は、また別の機会に。



さて、逆にデメリットですがオフェンス側に
一人、オフェンスがわに1on1に強いプレイヤーがいれば
図−2のように
オフェンス側が1on1がしやすい状況を創れるわけです。
これを「アイソレーション」と言います。
また、ディフェンスはオフェンスを追いかけて
ディフェンスするわけですから、
その配置は完全にオフェンス任せ。
例えばその為、図−3のようにSGがディフェンスを抜いて
カットインしてきた場合、本来ですと
CとPFで外からシュートが打てない方をマークしている方の
ディフェンスがヘルプ(注)に行くべきなんですが
2人とも行ってしまったり、
素人バレーボールじゃないですが
「あれ?お前が行くんじゃないの?」と
瞬間の迷いが元であっさり、決めらりと
その時々の瞬間の判断が難しくなります。

つまりはディフェンスで臨機応変の対応が求められ、
ディフェンスでの失敗が生じやすいわけです。
それに加え、先に言いましたように配置がオフェンス任せなため
ヘルプにきたプレイヤーによっては
SGはフリーのプレイヤーがどこにいるかがわかります。
これもディフェンス側としては大きなデメリットとなります。


(注:ヘルプ
ディフェンス側が抜かれると判断した場合などに、
そのオフェンスに別のディフェンスがマークにつくこと。)


あと、プレイヤーがトレードなどで動く場合などは
マンツーマンのほうが適応しやすく、
そう言ったプレイヤーが動いた場合などは
こちらが採用されるケースが多いです。



図-4(3-2ゾーン)


図-5


図-6


1-3-1ゾーン


スラムダンクでお馴染み(?)
ボックス1
(SGはシューターをマンツーマンでマーク)


2-3ゾーン

ゾーンディフェンス

ゾーンディフェンス(以下ゾーン)はマンツーマンとは違い、
各ディフェンスがそれぞれの持分の「地域」を
守る、というディフェンス。(例、図-4)

さて、このゾーンのメリットですが、
まずはそれぞれのプレイヤーが守るのに適した
ポジションでのディフェンスが可能、と言うもの。
身長のあるPF、Cはインサイド、
スピードのあるPG、SG、SFはアウトサイドと。
その為、一般的にインサイドでのディフェンスに強い、
と言われています。
が、アウトサイドもしっかり守れないかと言うとそうでもなく、
スクリーンは通用しません。
例えるならば、図-5のようにSGが動いても
ディフェンスがついていかない為、
マンツーマンならPFとCのスクリーンを使い、
フリーになれるわけですがゾーンだとSFに
スイッチされるだけで終わってしまいます。


このようになんともすばらしいゾーンですが、
いいことずくめかと言うとやはり、そう言うわけでもなく
いろんなデメリットもあります。

まず賢明な読者の方にはお気づきの方もおられるかと思いますが、
ゾーンの外、つまりは各プレイヤーの担当範囲外への
適応が難しい、と言うもの。

先の3-2ゾーンで例えるなら、
図-6のように青色の楕円形の部分が
非常に弱い部分になるわけです。

ゾーンは配置がディフェンス任せなため
3-2ゾーンの状態での様々な状況への
適応は前もって準備できますが、
その基本形を崩されるとディフェンスに
混乱が生じ、崩されるともろいと言うのも大きな欠点です。

また、同様にもし、ダラスのようにPF、Cが
アウトサイドのショットが打てるプレイヤーだったとしたら?
ゾーンは基本的にPG、SG、SFはアウトサイド、
PF、Cはインサイドでオフェンスをするプレイヤーとの
前提のもと組まれていますので、
オフェンスのプレイヤー構成上、
インサイドのプレイヤーがアウトサイドでの
ショットがある場合はゾーン自体が機能する、しない以前に
成立しません。

図-6で言うと、Cがアウトサイドを打てると
そのまま外へ出て、フリーになれます。
そしてディフェンス側のCがオフェンスについて
アウトサイドへ出てしまったら、
SFがカットインしてきた場合などポジション的に
Cがヘルプに行くようチーム内で決まっていたりしますので
あっさり決められてしまったりします。
つまり、予想できる範囲での動きには対応もでき、
ディフェンスもしっかり守れるのですが
マンツーマンと違い、「守れない動き」と言うのが
ゾーンにはあるわけです。

次にそれぞれが担当の地域を守るため、
そこからオフェンスが出た場合は
どんどんスイッチを繰り返すわけです。

そうなると難しくなってくるのがそのスイッチの場合の
味方ディフェンスとのコンタクト。

先ほどの図-5を例にとりますとディフェンス側は
SG→PF→C→SF
と、どんどんスイッチします。
そのスイッチの瞬間を誤るとゴールに近い「危険」な位置での
フリーを作ってしまうことになります。
その為、「ディフェンスが前もって準備できる」と言うメリットと同時に
「前もって十分な準備をする必要がある」と言う
デメリットもあるわけです。
また、一般的にはゾーンだとディフェンス側は動かなくていいと、
思われがちですが、そうでもなく、
図-6の青い部分を減らそうと思えば、
各プレイヤーが動いてディフェンス範囲を広げるしかありません。
その為、各プレイヤーには1対1でのディフェンス、というより
多くのプレイヤーを守れるフットワークが求められます。


あといくつか、ゾーンの基本パターンをいくつか載せておきます。
参考までに。


結論を言いますと、それぞれディフェンスには今言ったよりも様々なメリット、デメリットがあります。
それをふまえ、相手のメンバー構成により、ディフェンスを使い分けることが必要です。
ディフェンスはオフェンスを迎え撃つもので
全てオフェンス次第、なんてこと言っていては得点とられ放題です。
また、失点を零にするのは事実上不可能ですから
相手オフェンスの欠点を見抜き、そこにオフェンスをさせると言う
ディフェンスも必要となってきます。


例えるならば、レイカーズでスターターが

PG:フィッシャー SG:コービー SF:フォックス PF:サマキ C:シャック

ならシャックを擁するインサイドを重視して守り、
アウトサイドからのオフェンスを中心に攻めさせる、とか。
それならフィッシャーのようにシュートモーションが少しゆっくりなプレイヤーは少し離し
フォックスのようにモーションが早いプレイヤーにはしっかりついて守る、とか。
サマキは波があるため、それをみてディフェンスの重要度を変える、とか。
これらをふまえた上で、コービーにマンツーマンのディフェンスをつけ、
「ボックス1」で守る、とか。


さらに言うとウィザーズでスターターが

PG:ヒューズ SG:ジョーダン SF:スタックハウス PF:レイトナー C:ヘイウッド

ならばまず、インサイドプレイヤーでインサイドで得点ができるのはヘイウッドのみ。
レイトナーのオフェンスで警戒すべきはインサイドよりアウトサイド。
復帰からアウトサイドに波の大きく、
ボディチェック(ボールをもらうまでの体当たりによるポジションどりなど)に
弱くなったジョーダンにはスピードよりもフィジカルなディフェンスができる
ディフェンダーをつける、とか。
スタックハウスはSFとしては小柄で、さほどアウトサイドはあまり得意とはいえない、
同じくPGとしてはサイズはあるもののアウトサイドはさほど得意でないヒューズ。
この二人をフリーにしてはまずいですが、インサイドを主に守る、とか。
そう考えるとヘルプを重視したマンツーマン・ディフェンスで守るか、
3-2ゾーンでアウトサイドの「3」を少し広げ、アウトサイドは広く浅く守り、
それよりもインサイドへのジョーダン、スタックハウス、ヒューズのカットインを
インサイド・アウトサイドの両ポジションで警戒する必要があります。
3人とも爆発力があるため、「のってしまう」インサイドでの得点は
「失点2」以上の意味があるので、注意が必要でしょう。



なんだか、ちょっと変にずれてしまいましたが(笑)、
まぁ、ディフェンスにはオフェンスと違い、
「相手を抑える」と言う目的があるため、
それにあった手段を選ぶ必要があるわけです。

こんな感じでしょうか?
また、わからないことがあれば
わかる範囲内でお答えしますので、気楽に聞いてみてください。
わからなかったらごめんなさい(笑)。

asua



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