第116回
|
|
イースタン・カンファレンスのファイナル・ゲーム6でクリーブランド・キャバリアーズが勝利し、チーム史上初めてとなるファイナル進出を決めた。 ゲームはキャブスのホームコートと言うのもあり、終始キャブス有利で進む。特にピストンズはファールトラブルに悩まされ、ビラップス以外のスターターは全員それを抱えてのプレーとなった。 ゲームを決めたのはラブロン・ジェイムスとそのパスを受けたダニエル・ギブソン。 ラブロンは終始我慢のバスケを強いられるがダブルチームをさばき、20得点・8アシスト・14リバウンド・2ブロック・2スティールを記録。 レギュラーシーズン4.6得点のギブソンはこの日、3Q終盤あたりから次々得点を挙げ、3Pでは5/5。2P・FGでも2/4、FTは12/15と計31得点でキャリアハイをマーク。このゲームハイの得点ともなっている。 そして、ゲームが決まった瞬間は4Q残り時間7分の場面。 既に5ファールを犯していたラシード・ウォレスがラブロンのカットインに対し、ファールを犯してしまう。4Qに入って立て続けに笛を吹かれていたウォレスは審判にクレームをつけ、テクニカルファールももらい、ファールアウトに加えてキャブスにFTを与えてからコートを去った。 このシリーズ、テショーン・プリンスが振るわず、今日のゲームでもFG1/10と散々な出来で、ビラップスもいまいちぱっとしない。オフェンスの起点となっているのはリチャード・ハミルトンだが、ウォレスの退場はピストンズオフェンスをハミルトンに頼り切ることになってしまう結果となり、さすがに好調といえどダブルチームを抱えたまま得点を量産することはできなかった。 いつもはここでビラップスがチームを救うべく、活躍するのだが、今日はそれもなかった。 キャブスはラブロンへのダブルチームをさばき、そしてインサイドへボールを入れる。 これを序盤おこなっていたが、そこはさすがのピストンズ・ディフェンスに阻まれ、突き放せずにいた。そこをギブソンという外からの援護射撃で止めを刺した。 不安点はサーシャ・パブロヴィッチがゲームの流れを失いかねないミス(オフェンスファール)を2つ犯していたこと。アンダーソン・ヴァレジャオのインサイド一辺倒のオフェンスがピストンズ・ディフェンスに読まれており、7得点・7リバウンドという数字ほど貢献できなかったところか。 あとは本来、ベンチからの得点を期待されているダニエル・マーシャル(FG1/4で、3得点)に、本来はギブソンがやった活躍を求められているはずのデイモン・ジョーンズ(3P0/5で2得点)の復調を願うばかり。ルーキーのギブソンにファイナルで同様の活躍を期待できるかはわからず、外からのショットをジョーンズにもマーシャルにも決めてもらわないとキャブスは厳しい展開となる。 見事、予想に反し、イースタン・カンファレンスを制したキャブス。次は7日から始まるNBAファイナル。 このシリーズ、ビラップスが何故か大人しかった。キャブスがビラップスのアウトサイドを常に警戒していたこと、ピストンズがハミルトンへのオフェンスの比重を高めたこと、サイズのあるヒューズがマッチアップしやりにくかったこと、などがあげられるかと思うが、スパーズにはこのプレイオフにもガンガン切り込んできているトニー・パーカーがいる。ヒューズが同様にパーカーをある程度でいいので、やりにくくさせられればいいが。 あと、ホームコートアドヴァンテージがスパーズにあること。 スパーズにはベンチから出てくるジノビリがいるが、ギブソンにこれまで同様に活躍を期待できるかがわからないこと。 ディフェンスが言うまでもなくスパーズのほうが上であることなど、不安点が上げられる。 しかし、スパーズにも ・ダンカンが苦手なFTで64.8%といまいち安定しないこと ・対ダンカン用に起用できるスタータークラスのPFが2人、キャブスに入ること(ファールトラブルをそれほど危険視せず、ディフェンスできる→つまり、ダンカンの苦手なFTが増える?) ・波に乗っているギブソンがファイナルでもそうである可能性もある ・スピードとパワーというどう守っても、ファールにつながりやすいラブロンのオフェンスをファールせず、ボーウェンが止められるか という不安もある。 ゲーム1・2がサンアントニオ、3・4・5がクリーブランド、6・7がサンアントニオで行われるファイナル。 キャブスが初のNBA制覇を狙う以上、ゲーム1もしくは2での勝利が必要不可欠となる。 フィジカルなディフェンスを仕掛けてくるスパーズに対し、ホームコートアドヴァンテージを奪取する。 それができれば、充分に渡り合うこともできるはず。 さしあたっては勢いに乗っているギブソンの流れが止まる前に、ゲーム1。彼の活躍を期待したいところか。 ジャズがとまどったスパーズ・ディフェンスだが、キャブスはすでにピストンズとのシリーズでそれを経験し、対応した実績がある。 スパーズにはファイナルでの経験という、最後の一押しを可能とするものがある。 日本時間8日に2007NBAファイナルが始まる。 asua |