第115回

スパーズvsジャズ、カンファレンス・ファイナル

 シリーズをスパーズが2-0とリードして向かえたゲーム3。
 ティム・ダンカンのファールトラブルとジャズの徹底マーク、ブーザーのオフェンスでの好調。デロン・ウィリアムスの積極果敢なドライブなどがあり、ジャズはシリーズ初勝利を手にした。
 だが、スパーズは強い。
 終わってみれば26点差がついての圧勝だが、それは勝負が決まったのちについた点差。
 勝負が決まるまで、3Qなどはスパーズが崩れても仕方のないように思われた場面で再三、パーカーにダンカンがチームを踏ん張らせた。

 ジャズではデロン・ウィリアムスの果敢な攻めが結果としてはジャズに勝利をもたらした。今日は3Pも素晴らしかったが、あの3Pを可能としたのは果敢なカットインだと考えている。
 D・ウィリアムスはNBAのGの中では決して飛びぬけて早いGではない。今日のゲームでも2度にわたって豪快なブロックをオーリーから受けている。(何故か、オーリーのブロックが「1」となっているが)
 だが、これまでの「パスを狙って中に入った」というものではなく、得点を取りに飛び込んでいた今日のカットインはディフェンスをひきつけ、自身の得点とアシストとにつながった。
 ブーザーも得意のフェイダウェイが決まり、決めて欲しいところでしっかり決めてもくれたし、素晴らしい活躍だった。
 得点面でのもう一人の柱、オクァがダンカン相手にファールトラブルに悩まされ、0得点に終わったがそれでも勝利できたというのは大きい。
 個人的にジャズのベンチの期待を背負っているハープリングは、シリーズをゲーム1で10、2で2、そして今日の8得点とし今日が一番インパクトのある活躍ができていた。
 ジャズはスパーズがD・ウィリアムスそうしたように、パーカーに対してもダブルチームでよく守っていたが、ゲーム1と2のスパーズのほうがカバーにいくプレイヤーのディフェンス力があった。本来、キリレンコがここをカバーできればいいのだろうが、ここはスパーズがパーカーのカットインをそうはさせないよう、バックアップしている。

 今後はパーカー、D・ウィリアムスの点の取り合いに、ダンカンとブーザーのポイントでの得点がオフェンスでのかぎにある。
 ジャズも決して勝機がないわけじゃない。
 だが、最も不安な点はブーザーのディフェンス。
 時として凡ミスをするのは誰しもが人間である以上、仕方のないことだが、ディフェンスでのこれがブーザーにはあまりにも多い。ディフェンスの足をひっぱっているといっても過言じゃないだろう。
 ディフェンスがいい悪い、というよりはディフェンスに集中できていないように見えるのは私だけだろうか。
 スローンHCもご存知のようで、マッチアップでは本来、ダンカンにはブーザーがつくのがPF同士で自然だが、決してマッチアップさせようとはしない。オクァか、代わって出場したプレイヤーがその多くを占めている。

 あとは3Pか。
 デトロイト・ピストンズがクリーブランド・キャバリアーズのラブロン・ジェイムスがボールを持つと同時ぐらいにダブルチームに行き、「ダブルチームに行く場所」を外にすることで、アウトサイドへのカバーディフェンスを容易にしているが、現在のところ、スパーズにジャズはそれはできていない。もちろん、ラブロンと違い、パーカー、D・ウィリアムスがPGであることが大きなポイントとなっているが。
 だが、このため、ダブルチームでいく場合もカットインをされてのカバーディフェンスとなってしまうため、どうしてもゴール下付近となり、アウトサイドがあいてくる。
 今日もフリーでの3Pが多かったスパーズ。一方でジャズはここが打てるプレイヤーが少ない。オクァもサイズを生かして打つシーンは見受けられるが、パスアウトを受けて3Pというシーンはあまり見ない。これはカットインに対してあわせて動けてない、もしくはリバウンドに意識がいっているためかとも思われる。
 SFのキリレンコが3Pを打てないのがここでは大きい。スパーズはボーウェンが3Pを打てるし、ジノビリもベンチから出てきては3Pを放つし、オーリー、バリーも3Pの名手だ。今日は確率がよくなかったが。
 スパーズは7名のプレイヤーが3Pショットを打ち、7/21だったのに対して、ジャズは3Pを打ったのはD・ウィリアムスとフィッシャー、ギリチェックだけで、6/9。ゲーム2でもスパーズが13/26なのに対し、ジャズは3/11。ゲーム1だけはスパーズが5/11、ジャズが5/14となっている。

 恐らくはスパーズは次戦、D・ウィリアムスのカットインをつぶしにくるのではないだろうか。
 ブーザーへもダブルチームをしきたいところだが、ブーザーのオフェンスでの多才さを考えると、危険だ。
 それを考えると、D・ウィリアムスのカットインをつぶし、アウトサイドへパスを出させ、頼りないジャズのアウトサイドショットを打たせる、というほうがスパーズとしてはリスクは少ない気がする。
 もちろん、それが再びファールトラブルの原因になってしまったりもするかも知れないが。
 ジャズは今度はオクァをもっと使ってくるだろう。そうすることで、アウトサイドショットを補おうとするだろう。問題はD・ウィリアムスのカットインからの3Pを作れるかどうか。
 カットインがつぶされるのが先か、そこから3Pを作るのが先か。

 ゲーム4は29日の午前10時より始まる。

 asua



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