第110回


デンバー・ナゲッツvsロサンゼルス・レイカーズ 3/15


asua


 スターティング5は以下のメンバー

PG スティーヴ・ブレイク スマッシュ・パーカー
SG アレン・アイヴァーソン コービー・ブライアント
SF カーメロ・アンソニー ルーク・ウォルトン
PF ネネ・ヒラリオ ラマー・オドム
C マーカス・キャンビー クワミ・ブラウン

 特に注目は復帰初戦にしてスターターを務めるウォルトンとオドムの二人。オドムは怪我を押しての復帰初戦。

 開始から主導権を握ったのはレイカーズ。
 守ってはパーカーがアイヴァーソンに対してファールを犯しながら、激しいプレッシャーをかけ、オフェンスはウォルトンが「さすが」と思わせる渋いプレーを披露しチームを引っ張った。

 ナゲッツは何をやっても上手くいかない。
 ディフェンスではプレッシャーをかけに前に出れば裏へパスを通され、ひいて守ればレイカーズの素早いパス回しに翻弄される。
 そんな中、光を放ったのがクレーザ。今日は3P・5/6を含むFG・10/13でゲームハイとなる29得点をマーク。特に序盤の苦しいところでの3Pはチームを踏みとどまらせるのに効果的だった。
 前半、AIにアンソニーはいつもどおりのプレーを披露したが、ボールがリングに蹴られ、ゴール下でのレイカーズのディフェンスが効果的だったりと散々なでき。

 2Qに二桁まで開いた点差だが、突如レイカーズのオフェンスが行き詰る。
 原因はオドム。
 前半戦、好調レイカーズの原動力ともなったオドムだが、復帰初戦となった今日のゲームでの出来はスターターとしてコートに出た10人中最悪と言わざるを得ない。
 以前に「パスの中継のすさまじいまでの速さ」を絶賛したオドムだが、今日のゲームではパスに際し、毎回といっていいほどボールを止めてしまい、出来たフリーも潰れてしまう状態。
 得点ではアウトサイドを打つ場合のセレクションはさすがだが入らないし、切り込んではショットにいけずターンオーバーというシーンが何度もあった。
 ボールを運んではゲームメイク云々というまでにナゲッツのプレッシャーを処理するのに手間取り、テンポが悪くなった。更にナゲッツのディフェンス陣に「とめられる」という自信を与えてしまったのが決定的な失敗。

 2Q後半から今度はレイカーズは何をやってもうまくいかない。
 オフェンスでは出過ぎるわけでもない、パス元とパス先にいいプレッシャーをかけ続けるナゲッツにレイカーズのオフェンスを本当はやりたいサイドではなく、逆サイドの1on1へと押しやられ、その多くを失敗となった。
 守ってはこの頃からAIにアンソニーが息を吹き返しやられたい放題。オドムはアンソニーをマークしたが結局、やられっぱなし。二人にマークを集中させれば外からクレイザーや、ブレイクが射抜くという希望通りのプレーをさせてしまう。
 レイカーズが序盤からフリーを作りながら3Pを外し、ナゲッツがほどよくディフェンスラインを下げることが出来たのが大きい。レイカーズの3Pはこの日、3/22と決めた数はクレーザ一人(5/6)にも及ばない。

 後半、レイカーズは見せ場なし。
 パーカーがAIに対して素晴らしいプレッシャーをかけ、ターンオーバーを犯させたのが唯一の見せ場か。
 一方のナゲッツはまさに希望通り。アリウープに3Pにスティールに…。
 アンソニーがミドルでのオフェンスを高確率で沈めれば、AIが切り込んではパスをさばく。とどめにクレーザが3P。

 最近見たゲームでは結果が大差でも、内容的にはそれほど差がないゲームが多かったが、今日のゲームはナゲッツが113-86で文字通り圧勝。3連勝をマークし、ウェスタン・カンファレンスで6位とレイカーズに並んだ。

 レイカーズはこれでフィル・ジャクソンHCのコーチキャリア初となる7連敗。
 33勝32敗とし、もうそこまでプレイオフ・ラインが見えてきた。


 ナゲッツでは、AIがアンソニーをよく立て、自分が2ndであることをよく示していると思う。また、アンソニーも今日のゲームではその期待に応えた。
 クレーザに今日の活躍を毎夜、期待するわけにもいかないが、クレーザが今日0得点でもナゲッツは勝っただろう。ディフェンスが素晴らしかった。

 レイカーズはあれでは敗れる。
 ディフェンスでは苦手とされる早いG(今日の場合はAI)を止められなかった。ローテーションは素早く、よかったのだが、アンソニーにオドムをつけたのがそもそもの間違いか。次々とミドルショットを決められ、手が出なかった。それなら誰がアンソニーを守れるのかとなると難しい。1度、コービーがついていたシーンがあったが、コービーもかわされてショットを決められている。今日はAIに対してパーカーが素晴らしかったが、SFにもディフェンスに集中させれば頑張れるプレイヤーが欲しい。
 レイカーズは組織力ではカバーできないところのディフェンス力をどうするか。大きな課題。

 オフェンスでは前述のオドムに、アウトサイドショットの不発と、それに伴うアウトサイドショットの打ち控え。結果、インサイドでの細かいパスが増え、ディフェンスは中に固まる。そういうプレーを得意とするレイカーズだが、ディフェンスが小さく守っている状況下ではターンオーバーに自然とつながる。

 また、各人がそれぞれ、しっかりとしたプレーを今一度心がける必要がある。
 トップからサイドへのパスは、互いにスクリーンをしっかりかけ、ちゃんと行なえば実際、止めることはかなり難しい。しかし、ナゲッツがディフェンスで攻めに出た際、ここでの怠慢がどんどんナゲッツのディフェンスラインの前進を許した。
 ポストに二人置いた状態で両サイドの二人がそれぞれボールをもらいに出て、もらえずハーフライン少し入ったところで、トップのプレイヤーはもちろんその狭い位置からではポストにもパスを出せず、6人がハーフライン付近でせめぎあうといっためちゃくちゃな状況になっているシーンもあった。


 ナゲッツのディフェンスが素晴らしかった。
 レイカーズのオフェンスがなっていなかった。
 自然な流れとしてナゲッツが圧勝した。

 まさにこれ以上でも以下でもない。しつこいようだが、今日のクレーザは素晴らしかったが、クレーザが不発だったとしても今日のナゲッツの勝利は揺るぎなかっただろう。


 ナゲッツはプレイオフへ向け、怪我人も今シーズン帰ってこれそうなのは帰ってきており、あとは時間だけがチームを強くしてくれるだろう。
 レイカーズはラドマノヴィッチにミームというまさに「欲しい人材」を抱えながら、その箇所の人材不足に悩まされている。チームとして、ディフェンスではやれるだけのことはやっている感があり、これ以上の上積みは短期間では難しい。オフェンスではオドムの復調を願う他ない。

 プレイオフ当確ラインをせめぎあう2チーム。
 ここまで我慢し、上昇しようとしているナゲッツと、ここまで好調だったが我慢の時を迎えているレイカーズ。
 つい先日、ナゲッツは問題が起こりかけたがなにごともなく乗り切った。
 こうなってくると、そんな問題がレイカーズででてくるかもしれないし、その時乗り越えられるかはなってみないとわからない。

 どちらも「最悪のシナリオ」がありえたチームだが、ナゲッツはもうそれはないだろう。
 あとはレイカーズが今の乗り越えられるか。注目したい。





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