第104回
|
|||||||||||||
デンバー・ナゲッツ ミネソタ・ティンバーウルブズ ユタ・ジャズ シアトル・スーパーソニックス ポートランド・トレイルブレイザーズ デンバー・ナゲッツ 昨シーズン、44勝をマークし、今シーズンも同じく44勝しプレイオフ進出を果たしたデンバー・ナゲッツ。だが、今シーズンは昨シーズン以上に厳しいプレイオフになりそうだ。 昨シーズンまではディビジョン首位のチームはプレイオフでのシード順位は最悪でも3位だったが、今シーズンからはディビジョン首位の3チームに加え、勝率で続くチーム1つを加えた4チームが勝率で4位までのシード順位を争うことになったからだ。 サウスウェスト・ディヴィジョンの覇者はダラス・マーベリックスで61勝、ノースウェスト・ディヴィジョンでトップはナゲッツで44勝、パシフィック・ディヴィジョンはフェニックス・サンズで53勝。勝率で続いたのはサンアントニオ・スパーズで59勝となっている。つまり、ナゲッツのシード順位は4位となる。 プレイオフでナゲッツとあたることになるのは今シーズン48勝を挙げたヒューストン・ロケッツ。 ナゲッツはロケッツに対してシーズンでは勝ち越しており、エースのカーメロ・アンソニーはロケッツ相手では29.0得点と得意としている。 だが、記者の多くはロケッツ有利と予想。これについてC・アンソニーは問われると、 「このリーグでプレイオフに進出できるチームはうちに限らず、どこでも優勝できるだけの実力はある。それだけプレイオフ進出は毎年厳しい仕事だ。今シーズン、ロケッツには勝ち越しているし、ホームコートアドバンテージはこっちにあり、アウェイでも勝った実績がある。マグレディにヤオ・ミンは素晴らしい選手だし、ウェルスももはや新加入といった『浮いた』感じはしない。強敵だよ。それは間違いない。だが、我々にとってそうである以上に彼らにとって我々は『強敵』だ。負けない」 と答えている。 また、マッチアップが予想されるマグレディについては「止めることができるか」と聞かれると 「自信がないわけじゃないが、実はわからない。彼は時として常識的に考えて『入ってはいけないはず』というショットまで決めてしまうことがあるからね。けど、マグレディがそんなショットを決めたとしてもうちが勝つよ。うちはジョージ・カールHCのもと、強いチームになった。マグレディが40得点・・・はさせないつもりけれど、もしされたとしても、僕たちが勝つよ。やられたらやり返すかって?ん〜、いやそうしないと思う。そうしないことが僕たちの強みだ。コートに4人のチームメイトがいるのは、なにも僕のためのお膳立てをするためじゃない。お互いに助け合って勝利する為にいるんだ。だが、期待されていることも知っているよ。けれど、30得点や40得点あげるとは約束できない。勝つことだけは約束するよ」 そう言葉を選びながら慎重にアンソニーは答えた。 チームがプレイオフに駒を進め、対戦相手がロケッツ。そこで問題視されているのが、ヤオ・ミンの228pに対して、ナゲッツのCマーカス・キャンビーは210pという、この大きなミスマッチだが、ジョージ・カールHCは心配していない模様。 「いや、問題ないよ。うちには動きのあるディフェンス力がある。ヤオ・ミンだろうが、ジョージ・ミュアサンだろうが・・・って若い記者はミュアサンは知らないか(笑)。まぁ、要するにどれだけ大きな選手でも心配ない。『チーム』で守っているんだから。ボイキンスがマッチアップすることになっても平気だよ(笑)」 これを聞いたボイキンスは 「僕がヤオ・ミンにマッチアップだって?あ、けど、こうポストアップに対抗しようとして手を出せばちょうど膝の裏ぐらいになるんじゃない(笑)。そうなると、立ってられないかな(笑)?子供たちがよくやるような、カクっとなる感じで(笑)。それともアニメのようなブースターを背中に背負ってコートに出るのかな(笑)。まぁ、いずれにせよ、そうなったら僕の華麗なブロックショットをお見せするよ(笑)」 と陽気に答えている。 ミネソタ・ティンバーウルブズ ウルブズは今シーズン、昨シーズンよりもステップアップしたが、プレイオフ進出は果たせなかった。 「失望しているよ。今のチームに自信があったからね。何が足りなかったのか・・・。とにかく今は何も考えたくないよ」 プレイオフ進出の望みが断たれるとそう言葉少なにインタビューを切り上げたKG。前々日4/11にはホームで強豪ダラス・マーベリックスを破りプレイオフへ望みをつないだが、この日のサンアントニオ・スパーズ戦で、その望みは潰えた。 KGは今シーズンもこれまでと変わらず、チームの大黒柱としてプレーし続けた。 昨シーズンは珍しく6ゲームを欠場する場面もあったが、今シーズンは82ゲームフルに出場し、22.3得点&11.9リバウンド&4.6アシスト&1.6ブロック&FG51.6%を記録し、これだけ見ればMVPも夢じゃないだけの数字を残している。 だが、チームは40勝42敗と低迷が続く。 早くも噂されているのが、SFの補強。 今シーズン、SFへコンバートされたM・ヤリッチは7.7得点にとどまり、期待に答えたとはいい難い。それに出場時間でもT・ハッセル、R・ディビスのほうが長く、常にトレードの噂が絶えなかった。 それ以上に問題として取り上げられているのが、KGの去就だ。 KGは来シーズンの2007-08シーズンをプレイヤーオプションとして保有しており、オフにFAとなる可能性が残されている。5月には31歳になるKGだが、チームは2008-09シーズンまでの契約が残っているが、契約延長をオファーするものと見られている。 しかし、ファンが安心できないのはKGが今シーズン、常々「優勝したい」との言葉を残していることだ。 この問題については口が堅いKGだが、一番よく話したのがチームが連勝し突入したオールスターブレイクの時。 「ミネソタを愛している。これは間違いない事実だよ。なんだろう、他の街に行くとみんな僕を『特別の人』扱いするんだ。それはそれで嫌じゃないけれど、ずっとそこにいるのは疲れる。僕はジョーダンじゃないんだから、いつもスーパースターとして振舞うことはできないんだ。けど、ここだとみんなサインを欲しがったりするけれども、なんだろう。小さい頃、近所にすごくバスケットのうまいお兄さんがいたりしただろ。そんな感じで接してくれるんだ。ものすごくファンが暖かいんだ。距離が近いっていうのかな。だから、ここを離れてどこかへいくとは考えたくない。それに、今シーズンはプレイオフにも進む。うちは強いチームになったからね。ここで優勝する、それが僕にとってベストなのは間違いないよ」 この時から状況は変化している。KGがどう判断するのかは、まだ本人にさえわかっていない。 「夏の間、よく家族と話し合って決めることにするよ」 そう言い、KGは早めのオフシーズンに入っていった。 ユタ・ジャズ D・フィッシャーが開幕から2ゲームを欠場したが、今シーズンは大きな怪我に見舞われることがなかったユタ・ジャズ。M・オクァが77ゲームに出場し、17.6得点&8.9リバウンド。A・キリレンコが14.9得点&7.7リバウンド&3.3アシスト&3.3ブロックで、77ゲームに出場。そして、クリーブランド・キャバリアーズからジャズに移ってきてから2シーズンで84ゲームに出場するにとどまっていたC・ブーザーは今シーズン、74ゲームに出場し、16.8得点&8.8リバウンド&FG52.3%をマークした。 だが、36勝46敗とプレイオフ進出を逃したジャズ。 シーズン中盤に地元紙が掲載した「何故、勝てない?」と題されたコラムによると、問題点は大きく2つ。 1.3Pからの得点力の不足 昨シーズン26位だった3P%(33.6)は今シーズンも改善されていない(今シーズンは33.8%で同じく26位)。 特に今シーズンはサラリーの高額なD・フィッシャーをわざわざオフに獲得しておきながら、若手育成のために出場時間を削りすぎている。それに彼を活かしきれていないスローンHCの作戦にも問題がある(フィッシャーは18.6分の出場で6.6得点&3P36.7%を記録。特にシーズン中盤からにかけての出場時間の激減には「もうシーズンを諦めたのか!?」との批判の声も)。3Pではなく、ゲームを組み、ミドルからのショットを多用し、安定感を得ようとするのはわかるが、それに固執しすぎ、自ら選択の幅を狭めてしまっているのではないだろうか。 昨シーズン、3P%で自チームと相手チームとの差が一番マイナスに大きかったのは実はジャズで(-4.2)、今シーズンも同じくジャズだ(-4.1)。オフにはここが大きな課題となるだろう。 2.エースの不在 我らがジャズはエースとの期待をかけて3名の選手(キリレンコ、ブーザー、オクァ)に対し、総額3000万ドル超のサラリーを今シーズンも支払っているが、キリレンコはまだオフェンスでは安心しきれず、ブーザーは高さのあるディフェンダーには弱く、オクァはインサイドよりアウトサイドに出たがる。K・マローンはミドルからのジャンパーを決められるようになることで、インサイド、ミドル、オフェンスとしての起点、ストックトンとのコンビプレー、リバウンダーと多くの仕事をこなしたが、今のエースたちは分業が許されながら、誰しもがどの仕事もプロフェッショナルにはなりきれていない。 ブーザーはリバウンダーとして素晴らしく、オクァはそのサイズと多才さがあり、キリレンコはディフェンスでは満点だ。今のチームはしっかりピースが噛み合っているようで、その実はなんとかお互いの邪魔にはならないように積み重なっているに過ぎない。キリレンコはパスで非凡なところもみせており、ブーザーに対するパスを控え、その分をキリレンコがボールに触れる機会を増やすこと、それが解決につながるはずだ。キリレンコの成長を待つ必要があるが、ジャズが優勝を目指すには今のロスターではキリレンコにもっと託すべきではないだろうか。(地元紙) シーズン中もブーザーの放出、多くのPGを抱えている現状から、何人かの放出と、SG・SFの獲得が噂されたが、成立にはいたらなかった。オフにもサラリーキャップに大きな空きはなく、地道な補強が続きそうなジャズ。 今シーズンを受けて、一部ではスローンHCが辞意を固めたとの報道もあるが、オーナーのラリー・ミラー氏がこの報道を否定。ミラー氏が続投を説得した、とも言われている。 シアトル・スーパーソニックス L・リドナー、E・ワトソン、R・アレン、K・ラッシュ、D・ウィルキンス、R・ルイスとバックコートに人材豊富なソニックス。 だが、インサイドがぱっとしない。 期待のC・ウィルコックスの孤軍奮闘が続く。ウィルコックスは9.9得点&7.9リバウンドと頑張っているが、続く選手がいない。 期待としては「2年目のJ・ペトロが5.9得点&4.8リバウンドだが、プレータイムを与えれば化けるかもしれない。」(地元紙)とも言われており、「HCはR・スウィフトに多大な期待をしているようだ」(同)とも言われている(スウィフトは7.3得点&5.4リバウンド)。 また、ベテランとなった32歳になるR・アレンは「優勝したいか?」との問いに 「そりゃしたいさ。けど僕は『ここ』で優勝したいんだ。それじゃないと意味がない。トレードして、他の土地に移って、出場時間を削られるのにも耐え、優勝リングを手に入れる。そうすれば、僕個人としては納得がいくのかもしれない。けど、長年応援してくれたファンに恩返しができたとはいえないと思う。多くのプレイヤーが忘れていることだが、僕たちがバスケットボールすることで生活できているのはNBAがあるからじゃない、ファンが応援してくれているからなんだ。そして、ファンの半分は個人のプレイヤーを応援しているけれど、もう半分はチームを応援してくれているんだ。前の場所(ミルウォーキー)でもここでも僕はよくしてもらっている。ミルウォーキーでは優勝できなかった。僕は『ここ』でぜひとも優勝したいんだ」 こう、優勝にかける決意と、シアトルに対する思いを語った。 33勝49敗。アレンの想いを達成するにはまだ、茨の道は続く。 ポートランド・トレイルブレイザーズ 198p、98sのSG。ワシントン大を出たルーキーがリーグにセンセーションを起した。 ブランドン・ロイ。オールラウンダーであり、ドライブもいい。 「態度のいいアイザイア・ライダーだ。しかも、彼はライダーのように得点をあげつつ、他のこともできる」(地元紙) 18.8得点&4.3リバウンド&2.3アシストをマークし、2度のルーキー・オブ・ザ・マンスを獲得。今後行なわれるルーキー・オブ・ザ・イヤーの発表を待っている状態。 「ジョーダン2世」4割に対し「ピペン2世」と評するのが6割、というのがファンの予想するロイの将来像。 J・ディクソン、B・ロイ、M・ウェブスター、Z・ランドルフ、J・プラズビラのスターターは十分にプレイオフを狙えるはずだったが、 「ロッカールームの雰囲気は最悪」(地元紙) との噂もあり、「才能だけが集まっている。まとめるベテランGが必要」(同)とも言われている。 だが、シーズンを21勝で終えたチームに地元紙は希望を見出している。 「J・マグロアを獲得できたことで今シーズン、プラズビラを無理せず育てることができたことが1つ。L・オルドリッジも同じく、怪我でシーズンをスタートさせたが無理をさせずに経験を積ませることができたことも1つ。ディクソンもチームとマッチすることができたことも1つだ。そして、ロイを獲得したことだ。そして、結果的にだが、21勝に終わったことは次のドラフトでの上位指名が期待できる。なんにしても、チームは最悪期を今シーズン脱することができた」 また、オフの課題については 「ランドルフ、ラフレンツ、D・マイルスを放出すること。経験豊富なベテランを獲得すること。だが、前者は確かに無理難題だ。イースタンにいる高名なGM兼HCにご相談するしかないだろう」(地元紙) としている。また、獲得希望としてはD・アームストロング(オフにFA)、B・バリー(サンアントニオ・スパーズ)、B・ナイト(シャーロット・ボブキャッツ)などをあげているが、「夢のシナリオ」として「デトロイト・ピストンズとの間でサイン&トレードをまとめ、C・ビラップスの獲得。これができれば2年後には優勝候補に昇ることができる」ともしている。 ディヴィジョン順位表
|