「Ewing」のバッシュで日本にも馴染みのある、
オーランド・マジックのパトリック・ユーイング。
彼の去就がここのところ、取りざたされています。
彼の去就、と言うよりも一つの時代の終わりが、
もうそこまで来ているように思えます。




第8回は

パトリック・ユーイング、騒動。


オーランド・マジックのパトリック・ユーイングが
古巣のニューヨーク・ニックスとの今シーズン最後の
対戦で先発出場を果たし、そのことで全米のメディアに
「今シーズン限りで引退するためでは!?」との
報道が駆けめぐっています。
ここまで61試合出場で、先発出場は3試合のユーイング。
確かに、何か意味ありげなものと、
とられても仕方のない話。

ここまでの成績も13.8分の平均出場時間に
5.9得点&4.1リバウンドとかつての姿が
想像もできないほど。

そのニックス戦でもスターターを勤めながら、
19分の出場に止まり、6得点に終わっています。

「優勝」への執念がそうさせているのでしょうが、
今シーズンのマジックにはそれは厳しく、
来シーズン、ヒルの怪我の状況次第では
どうなるかもわかりません。

レイカーズとの契約、というのはあまりにも
プライドが許さなかったのでしょうが、
もし話があれば、リッチモンドのように
金でもない、プライドでもない、「優勝」だけを望んで
チームに貢献する、と言う道もあったのかも知れません。

かつて、ドラフト指名のシステムが今のものと違った当時、
リーグ大多数(全部だったかな?)のチームがユーイングを指名する
と言う異常な事態にまで発展し、ドラフトシステムをも返させた
”ニューヨークのキングコング”、パトリック・ユーイング。

力強いインサイドとあの巨体から繰り出される打点の高い
ジャンプシュートにフェイダウェィシュートでリーグ屈指の
センターとして、多くのファンを魅了し、日本でも一時期
「Ewing」のバスケットシューズが流行するまでに至りました。
(余談ですが、私が初めて勝ってもらったバッシュもEwing。
Gのくせに異常なまでハイカットな
黒赤のバッシュを勝ってもらった記憶が(笑)。
「ハイカットなのがバッシュ!」と言ったイメージが私の中にありましたし(笑))

そして、まさかの「ニューヨークからの放出」。
元はと言えば、1999年プレイオフでの怪我による戦線離脱と
それを期に目を覚ましたかのように生まれた、
「ニューヨークの新しいプレイスタイル」。

ラトレル・スプリューエルを中心とした
ランニングバスケットを展開し、その変化に対応できなかった
対戦チーム達を敗り、ファイナルにまで進出するに至った経緯が、
ニューヨーク首脳陣にそれまで出そうで、出きらなかった「ユーイング不要論」を
生まれさせる結果となりました。
しかし、そのファイナルで無惨なまでに手も足も出ず、
サンアントニオ・スパーズのツインタワーにしてやられた様を見て、
どう考えて、そう決断したのかは知りませんが、
首脳陣はあくまで「若返り・ユーイング放出」で
シアトルを経て、現在のオーランドに。

こういった「名選手」でありながら、優勝という唯一無二の
栄冠を手にし得ていない選手達を見るたびに華やかに見える
プロスポーツの厳しさを感じます。
しかし、永久欠番などと違い、「あげてもいいのでは?」といった
感情論ではどうしようもないのが、この「優勝」。

誰もが望み、毎年12人しか手にすることの出来ない優勝。
しかも、その半数を一人の「神」に独占された時代に生まれてしまった不運。

”サー”チャールズ、
”ヒューマン・ハイライトフィルム”ドミニク・ウィルキンス、
そして、”キングコング”パトリック・ユーイング。

どの選手もが、「優勝」を得てしかるべき選手ばかり。
チャールズ・バークレーはその唯一のチャンスをジョーダン伝説第一章を
締めくくる舞台で絶たれ、そして怪我の為、そのチャンスが再び訪れることはなく、
ドミニク・ウィルキンスは「スコアラー」の代名詞になり得た選手ですが、
あまりにも偉大すぎる選手と自身のエゴのため、夢敗れ
厳しいプロスポーツ選手としての晩年を過ごしました。

パトリック・ユーイングは?
「ニューヨークの顔」として、誰からも愛され、人気、実力ともに申し分なく、
何度となく、そのチャンスがありながら、小さな体の大きな壁に
阻まれ続け、ついに夢かなわぬまま、静かにユニフォームを脱ぐのでしょうか?

恐らく、今、現役選手達が異常なまでに「現役」へこだわり、
リーグが高齢化しているのには、はっきり言って「金」もあるでしょうが、
「あの男さえいなければ勝てるはず!」と誰しもが思っているからじゃないでしょうか?
その男も選手へと戻りましたが、時間という砂に膝が埋もれ、
もはやかつての「神」として跳べなくなってしまいました。

果たして、20世紀のリーグを席巻していた選手達は
最後に一花咲かすことが出来るのでしょうか?
オラジュワンもいる、ストックトン、マローンも頑張っています。
そんな中、果たして誰が!?
それとも誰しもが!?
さて?答えは「神」のみぞ知る?





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